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第168回芥川賞受賞!

第168回芥川賞受賞!

井戸川射子さんの「この世の喜びよ(「群像」2022年7月号掲載)が、第168回芥川賞を受賞しました!

『この世の喜びよ』(講談社2022年11月刊)

思い出すことは、世界に出会い直すこと。静かな感動を呼ぶ傑作小説集。

娘たちが幼い頃、よく一緒に過ごした近所のショッピングセンター。その喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートの常連の少女と知り合う。言葉にならない感情を呼びさましていく芥川賞受賞作「この世の喜びよ」をはじめとした作品集。

ほかに、ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する主婦を描く「マイホーム」、父子連れのキャンプに叔父と参加した少年が主人公の「キャンプ」を収録。


第168回芥川賞受賞!

井戸川射子(いどがわ・いこ)

1987年生まれ。関西学院大学社会学部卒業。2018年、第一詩集『する、されるユートピア』を私家版にて発行。2019年、同詩集にて第24回中原中也賞を受賞。2021年、小説集『ここはとても速い川』で第43回野間文芸新人賞受賞。著書に『する、されるユートピア』(青土社)、『ここはとても速い川』(講談社)、詩集『遠景』(思潮社)がある。2023年、『この世の喜びよ』(講談社)で第168回芥川賞を受賞。


第75回野間文芸賞受賞!

第75回野間文芸賞受賞!

松浦理英子さんの『ヒカリ文集』が第75回野間文芸賞を受賞しました!

『ヒカリ文集』(講談社2022年2月刊)

二年前、東北で横死した劇作家兼演出家の破月悠高。妻の久代がその未完成の遺作を発見した。学生時代に夫妻も所属していた劇団NTRをモデルにしたその戯曲を読んだ久代は、同じく劇団員だった鷹野裕に声を掛ける。「裕、あの戯曲の続き書かない?」
相談の結果、元劇団員たちがそれぞれ好きな形式で文章を寄せることになった。作品集のタイトルは「ヒカリ文集」。劇団のマドンナであり、あるとき姿を消してしまった不思議な魅力を持った女性、賀集ヒカリの思い出が描かれてゆく。
『親指Pの修業時代』『犬身』『最愛の子ども』……そして新たな傑作が誕生!


第75回野間文芸賞受賞!

松浦理英子(まつうら・りえこ)

作家。1958年、愛媛県松山市生まれ。青山学院大学文学部卒業。1978年「葬儀の日」で第47回文學界新人賞を受賞しデビュー。94年『親指Pの修業時代』で第33回女流文学賞、2008年『犬身』で第59回読売文学賞、17年『最愛の子ども』で第45回泉鏡花文学賞を受賞。他の著書に『セバスチャン』(文藝春秋)、『ナチュラル・ウーマン』(トレヴィル)、『裏ヴァージョン』(筑摩書房)、『奇貨』(新潮社)などがある。


第44回野間文芸新人賞受賞!

第44回野間文芸新人賞受賞!

町屋良平さんの『ほんのこども』が第44回野間文芸新人賞を受賞しました!

『ほんのこども』(講談社2021年11月刊)

横溢する暴力と身体、無垢なる魂の軌跡。「やさしく恋するみたいに他の人体を壊す」
元同級生あべくんからのメールにあった文章から着想したシーンをつないで、商業作家はあべくん自身の人生を小説にしようとする。父による母殺傷事件、両親がころしころされていたあべくんはやさしく恋するみたいに他の人体を壊す。殴られても反発するようによろこぶ身体。やさしさや暴力で愛撫し合い痛みをこらえるようによろこぶ身体。物語にかえろうとするから人生はつらく、日常が重すぎてひとをころしたくなる。恋人をころして自分も死んだところで折り返し、あべくんの物語は無限に再生を繰り返す。小説家があべくんなのかあべくんがかれなのか、やがてふたりの境界は曖昧になり、問い自体が意味を失う。


第44回野間文芸新人賞受賞!

町屋良平(まちや・りょうへい)

1983年、東京都生まれ。2016年、『青が破れる』で第53回文藝賞を受賞。2019年、『1R1分34秒』で第160回芥川龍之介賞を受賞。