群像2023年12月号

【連作】小川洋子 【中篇一挙掲載】青木淳悟 小砂川チト 村雲菜月


【『マルクス解体 プロメテウスの夢とその先』刊行記念】斎藤幸平


【New Manual】山内マリコ


【『「誰でもよいあなた」へ——投壜通信』刊行記念】伊藤潤一郎 町屋良平


【秋のエッセイフェス】


【最終回】小川公代 田中純 古井由吉 【本の名刺】長嶋有

群像2023年12月号11月7日発売)
特別定価1550円:A5版

【連作】小川洋子 【中篇一挙掲載】青木淳悟 小砂川チト 村雲菜月

小川洋子さんの連作「耳たぶに触れる」は、VRアニメーション『耳に棲むもの』から生まれた物語第二弾。中篇一挙掲載は、青木淳悟さん「春の苺」、小砂川チトさん「猿の戴冠式」、村雲菜月さん「コレクターズ・ハイ」の3本をお届けします。

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小川洋子さん「耳たぶに触れる」

〝早泣き競争〟で男が涙を流す瞬間、僕はシャッターを押した。彼は何を思い浮かべて泣いたのだろう。VRアニメーション『耳に棲むもの』から生まれた物語。

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青木淳悟さん「春の苺」

父が亡くなって五年が経ち、埼玉の実家をたびたび訪れては、あてどなくそこへ滞在するということが増えていた。亡き父の痕跡と日々の負い目を感じ、なにかを言いそびれたまま過ぎる生活と家族の記憶を描く。

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小砂川チトさん「猿の戴冠式」

ある事件以降、引きこもっていた競歩選手のしふみは、テレビの中に「おねえちゃん」を見つけ動植物園へ向かう。わたしたちには、わたしたちだけに通じる〝おまじない〟があった。群像新人文学賞受賞第一作。

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村雲菜月さん「コレクターズ・ハイ」

なにゅなにゅオタクの私、クレーンゲームオタクの森本さん、髪オタク美容師の品田。その愛は一方通行だったはずなのに、気がつけば歪んだトライアングルから抜け出せなくなっていて——。執着の暴走に恐怖する、衝撃の群像新人文学賞受賞第一作。

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【『マルクス解体 プロメテウスの夢とその先』刊行記念】斎藤幸平

今年2月に英語で出版された斎藤幸平さんの『Marx in the Anthropocene』を、日本語に翻訳した『マルクス解体 プロメテウスの夢とその先』。その刊行を記念して、斎藤幸平さんのロングインタビューを掲載(聞き手・構成=斎藤哲也さん)。新時代のグランドセオリーが、ここにあります。

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斎藤幸平さん(聞き手・構成:斎藤哲也さん)「資本主義の先にあるもの」

人新世から未来へ向かうための新たなグランドセオリーとは。英国で出版された自著の日本語版をめぐるロングインタビュー。

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【New Manual】山内マリコ

文×論×服のクロスオーバー「New Manual」には山内マリコさんが登場。「ワンピース旅をする」をご寄稿いただきました。

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山内マリコさん「ワンピース旅をする」

戦争があり復興があって、街にはじめて開店した洋装店でそのワンピースは作られた。やがてふたたび戦争が起こり、新しい世界が訪れて……。一枚の洋服がたどる地球の未来。

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【『「誰でもよいあなた」へ——投壜通信』刊行記念】伊藤潤一郎 町屋良平

伊藤潤一郎さん『「誰でもよいあなた」へ——投壜通信』刊行を記念し、町屋良平さんによる書評と、著者による「本の名刺」を掲載。

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町屋良平さん「小説にとっての庭、そして「誰でもよいあなた」」

伊藤潤一郎さん「本の名刺」

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【秋のエッセイフェス】

今号はエッセイも盛りだくさん。「秋のエッセイフェス」に、11名の方に参加いただきました。

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石田光規さん「恋愛アニメの雪月花」

久保勇貴さん「星座が街に溶け込めば」

﨑川修さん「断ち切られた悲しみ」

末木新「「#国は安楽死を認めてください」について、どう考えるべきか」

武塙麻衣子さん「スナック涼のこと」

寺本愛さん「「おいしい」のリハビリ」

頭山ゆう紀さん「海を眺める」

徳田功さん「研究の愉しみ」

ひらいめぐみさん「ふたつか、ひとつか」

牧野智和さん「「教養としての」とは何なのか」

ユリ・アボさん「仏前のフェミニズム」

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【最終回】小川公代 田中純 古井由吉 【本の名刺】長嶋有

小川公代さん「翔ぶ女たち」、田中純さん「磯崎新論」、古井由吉さん「こんな日もある 競馬徒然草」が続々と完結・最終回を迎えています。「本の名刺」は10月26日に『トゥデイズ』を刊行された長嶋有さんにご寄稿いただきました。

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小川公代さん「翔ぶ女たち 「ザ・グレート・ウォー」———女たちの語りに耳をすます」

「傷」を抱える脆弱な人間は、いかにして戦争に傾く父権的な社会から「個」を奪われずに生きのびられるか。フェミニストとして生きる葛藤を抱えながら、世界に羽ばたく「彼女たち」を愛と祝福で包みこむ。

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田中純さん「磯崎新論」

作者にも解答できない謎が存在する。仕事が多岐多彩にわたる「磯崎新」という謎に迫る本格評論がついに完結。

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古井由吉さん「こんな日もある 競馬徒然草」

天気が毎日変わるように、勝つ日もあれば負ける日もある。競馬も人生も、続いていく。

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長嶋有さん「本の名刺」

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井戸川射子さんの「この世の喜びよ(「群像」2022年7月号掲載)が、第168回芥川賞を受賞しました!

『この世の喜びよ』(講談社2022年11月刊)

思い出すことは、世界に出会い直すこと。静かな感動を呼ぶ傑作小説集。

娘たちが幼い頃、よく一緒に過ごした近所のショッピングセンター。その喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートの常連の少女と知り合う。言葉にならない感情を呼びさましていく芥川賞受賞作「この世の喜びよ」をはじめとした作品集。

ほかに、ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する主婦を描く「マイホーム」、父子連れのキャンプに叔父と参加した少年が主人公の「キャンプ」を収録。

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井戸川射子(いどがわ・いこ)

1987年生まれ。関西学院大学社会学部卒業。2018年、第一詩集『する、されるユートピア』を私家版にて発行。2019年、同詩集にて第24回中原中也賞を受賞。2021年、小説集『ここはとても速い川』で第43回野間文芸新人賞受賞。著書に『する、されるユートピア』(青土社)、『ここはとても速い川』(講談社)、詩集『遠景』(思潮社)がある。2023年、『この世の喜びよ』(講談社)で第168回芥川賞を受賞。

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松浦理英子さんの『ヒカリ文集』が第75回野間文芸賞を受賞しました!

『ヒカリ文集』(講談社2022年2月刊)

二年前、東北で横死した劇作家兼演出家の破月悠高。妻の久代がその未完成の遺作を発見した。学生時代に夫妻も所属していた劇団NTRをモデルにしたその戯曲を読んだ久代は、同じく劇団員だった鷹野裕に声を掛ける。「裕、あの戯曲の続き書かない?」
相談の結果、元劇団員たちがそれぞれ好きな形式で文章を寄せることになった。作品集のタイトルは「ヒカリ文集」。劇団のマドンナであり、あるとき姿を消してしまった不思議な魅力を持った女性、賀集ヒカリの思い出が描かれてゆく。
『親指Pの修業時代』『犬身』『最愛の子ども』……そして新たな傑作が誕生!

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松浦理英子(まつうら・りえこ)

作家。1958年、愛媛県松山市生まれ。青山学院大学文学部卒業。1978年「葬儀の日」で第47回文學界新人賞を受賞しデビュー。94年『親指Pの修業時代』で第33回女流文学賞、2008年『犬身』で第59回読売文学賞、17年『最愛の子ども』で第45回泉鏡花文学賞を受賞。他の著書に『セバスチャン』(文藝春秋)、『ナチュラル・ウーマン』(トレヴィル)、『裏ヴァージョン』(筑摩書房)、『奇貨』(新潮社)などがある。

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町屋良平さんの『ほんのこども』が第44回野間文芸新人賞を受賞しました!

『ほんのこども』(講談社2021年11月刊)

横溢する暴力と身体、無垢なる魂の軌跡。「やさしく恋するみたいに他の人体を壊す」
元同級生あべくんからのメールにあった文章から着想したシーンをつないで、商業作家はあべくん自身の人生を小説にしようとする。父による母殺傷事件、両親がころしころされていたあべくんはやさしく恋するみたいに他の人体を壊す。殴られても反発するようによろこぶ身体。やさしさや暴力で愛撫し合い痛みをこらえるようによろこぶ身体。物語にかえろうとするから人生はつらく、日常が重すぎてひとをころしたくなる。恋人をころして自分も死んだところで折り返し、あべくんの物語は無限に再生を繰り返す。小説家があべくんなのかあべくんがかれなのか、やがてふたりの境界は曖昧になり、問い自体が意味を失う。

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町屋良平(まちや・りょうへい)

1983年、東京都生まれ。2016年、『青が破れる』で第53回文藝賞を受賞。2019年、『1R1分34秒』で第160回芥川龍之介賞を受賞。

書籍書影
レンマ学
中沢新一
2019年
8月8日発売
書籍書影
窓の外を見てください
片岡義男
2019年
7月24日発売
書籍書影
掃除婦のための手引き書
ルシア・ベルリン 岸本佐知子・訳
2019年
7月10日発売
書籍書影
川っぺりムコリッタ
荻上直子
2019年
6月27日発売