群像2024年5月号(4月6日発売)
特別定価1650円
【短篇小説特集・休暇と短篇。】今村夏子 片瀬チヲル くどうれいん 小池昌代 高瀬隼子 武塙麻衣子 長野まゆみ | |
短篇小説特集「休暇と短篇。」 今村夏子さん、片瀬チヲルさん、くどうれいんさん、小池昌代さん、高瀬隼子さん、武塙麻衣子さん、長野まゆみさんにご寄稿いただきました。GW前の発売号ということもあり、休みにどれからでも、「休暇と随筆。」とともにお読みください! *** 今村夏子さん「三影電機工業株式会社社員寮しらかば」 子供の頃から憧れていた寮生活を、二十八歳で送ることになった。念願叶って、ではなく、そうせざるを得なかったからだ。 * 片瀬チヲルさん「かわいい獣」 自称スナフキンの恋人が、別れを切り出して消えてしまった。桃音は合鍵を持って彼の家に向かう。 * くどうれいんさん「背」 朝は、ベランダに出て煙突の煙を眺めてから出勤する。展示室のすべてをしまうまの目で見つづける。 * 小池昌代さん「魂ぎれ」 幾千年の時をこえて、いまここで「あなた」と出会う奇跡。大切な家族をひとりずつ看取り、老いてゆく我が身も燃え尽きようとするそのとき、彼女に寄り添うのはほかでもなく――。 * 高瀬隼子さん「いくつも数える」 多趣味で人望の厚い五十歳の天道課長。その結婚は職場に波紋を呼ぶ。 * 武塙麻衣子さん「とうらい」 大きな三毛猫と無口な黒猫、結婚して七年になる健人とここに暮らし始めて五年になる。些細な気がかりのことを思うと時々、夫との会話は少し嚙み合わない。 * 長野まゆみさん「もう森へ行かない」 顔も覚えていない実母の墓参りに向かうぼくは、「ぼく」の一人称をつかって話す一実さんと合流した。彼女が唄うメロディに涙がでるのはなぜだろう。 |
【小特集・ルシア・ベルリン】ルシア・ベルリン 岸本佐知子 | |
短篇特集のほかに、ルシア・ベルリンの短篇3本を掲載。『掃除婦のための手引き書』『すべての月、すべての年』に続く、刊行準備中の新邦訳作品集『楽園の夕べ』(仮題)からの先行掲載となります。翻訳と解説は岸本佐知子さん。単行本に先んじて、ぜひご注目ください。 *** ルシア・ベルリン、岸本佐知子さん・訳「日干しレンガのブリキ屋根の家」 マヤがミュージシャンと再婚し、子供たちを連れて引っ越したのは、荒れはてた土地に建つ古い家だった。 * ルシア・ベルリン、岸本佐知子さん・訳「オルゴールつき化粧ボックス」 当たりの名前を買った人が化粧ボックスをもらえるくじつきカード。七歳のわたしとホープは、家を一軒ずつまわってカードを売った。 * ルシア・ベルリン、岸本佐知子さん・訳「妻たち」 彼にかなう男に会ったことある? デッカとローラが酒を飲みながら話すのは、二人がかつて結婚していたマックスについてだ。 *** |
【中篇一挙】砂川文次 | |
中篇一挙掲載は砂川文次さん「オートマタ・シティ」。群像では芥川賞受賞作『ブラックボックス』(文庫化されました!)以来の作品です。「嘘」と「ごまかし」に満ちた政治のことを考えさせられる本作も、お楽しみください。 *** 砂川文次さん「オートマタ・シティ」 行政監査院監査官補のコマツは、過去に立ち消えになったはずの「新東京特別市」計画の調査を命じられる。一つの文書を追った先に見えたこの国の正体――。 *** |
【対談】中村佑子×村上靖彦 【本の名刺】中村佑子 | |
マルジナリア書店での対談、中村佑子さん×村上靖彦さん「ヤングケアラーの哲学」を掲載します。一般化することのできない「ヤングケアラー」という言葉が取りこぼすものからの対話。『わたしが誰かわからない ヤングケアラーを探す旅』中村さんの本の名刺とあわせて。 *** 中村佑子さん×村上靖彦さん「ヤングケアラーの哲学」 語りの「読み」の方法から、レヴィナスの自己論まで。一般化できないヤングケアラーの問題に、私たちはどう向き合うべきなのか。 * 中村佑子さん「本の名刺」/『わたしが誰かわからない ヤングケアラーを探す旅』 *** |
【不定期エッセイ】高山羽根子 【最終回】鎌田裕樹 諏訪部浩一 | |
高山羽根子さんの不定期野球エッセイ「いま、球場にいます」は第3回を掲載。鎌田裕樹さん「野良の暦」、諏訪部浩一さん「チャンドラー講義」がそれぞれ最終回を迎えています。単行本もご期待ください。第67回群像新人文学賞の予選通過作品を発表しています。 *** 高山羽根子さん「いま、球場にいます」 NPBのシーズンオフは、台湾で開催されたアジア野球選手権大会へ。季節は流れ、日本プロ野球のキャンプ情報を追う。そしていよいよ球春到来――。 *** 鎌田裕樹さん「野良の暦」 京都・大原での農業見習いをまもなく終え、故郷の千葉へ。修業の日々を綴ったエッセイ完結。 *** 諏訪部浩一さん「チャンドラー講義」 フィリップ・マーロウを世に出し、シリーズを書き続けた孤独な作家は、『ロング・グッドバイ』以降をどう生きたのか。 ***
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〈短篇小説特集・休暇と短篇。〉
〈小特集 ルシア・ベルリン〉
〈中篇一挙〉「オートマタ・シティ」砂川文次
〈対談〉「ヤングケアラーの哲学」中村佑子×村上靖彦
〈休暇と随筆。〉
〈不定期エッセイ〉「いま、球場にいます」高山羽根子
〈本の名刺〉中村佑子『わたしが誰かわからない ヤングケアラーを探す旅』
〈最終回〉
| 〈連載〉
〈書評〉
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