群像2023年12月号

【連作】小川洋子 【中篇一挙掲載】青木淳悟 小砂川チト 村雲菜月

小川洋子さんの連作「耳たぶに触れる」は、VRアニメーション『耳に棲むもの』から生まれた物語第二弾。中篇一挙掲載は、青木淳悟さん「春の苺」、小砂川チトさん「猿の戴冠式」、村雲菜月さん「コレクターズ・ハイ」の3本をお届けします。

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小川洋子さん「耳たぶに触れる」

〝早泣き競争〟で男が涙を流す瞬間、僕はシャッターを押した。彼は何を思い浮かべて泣いたのだろう。VRアニメーション『耳に棲むもの』から生まれた物語。

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青木淳悟さん「春の苺」

父が亡くなって五年が経ち、埼玉の実家をたびたび訪れては、あてどなくそこへ滞在するということが増えていた。亡き父の痕跡と日々の負い目を感じ、なにかを言いそびれたまま過ぎる生活と家族の記憶を描く。

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小砂川チトさん「猿の戴冠式」

ある事件以降、引きこもっていた競歩選手のしふみは、テレビの中に「おねえちゃん」を見つけ動植物園へ向かう。わたしたちには、わたしたちだけに通じる〝おまじない〟があった。群像新人文学賞受賞第一作。

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村雲菜月さん「コレクターズ・ハイ」

なにゅなにゅオタクの私、クレーンゲームオタクの森本さん、髪オタク美容師の品田。その愛は一方通行だったはずなのに、気がつけば歪んだトライアングルから抜け出せなくなっていて——。執着の暴走に恐怖する、衝撃の群像新人文学賞受賞第一作。

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【『マルクス解体 プロメテウスの夢とその先』刊行記念】斎藤幸平

今年2月に英語で出版された斎藤幸平さんの『Marx in the Anthropocene』を、日本語に翻訳した『マルクス解体 プロメテウスの夢とその先』。その刊行を記念して、斎藤幸平さんのロングインタビューを掲載(聞き手・構成=斎藤哲也さん)。新時代のグランドセオリーが、ここにあります。

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斎藤幸平さん(聞き手・構成:斎藤哲也さん)「資本主義の先にあるもの」

人新世から未来へ向かうための新たなグランドセオリーとは。英国で出版された自著の日本語版をめぐるロングインタビュー。

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【New Manual】山内マリコ

文×論×服のクロスオーバー「New Manual」には山内マリコさんが登場。「ワンピース旅をする」をご寄稿いただきました。

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山内マリコさん「ワンピース旅をする」

戦争があり復興があって、街にはじめて開店した洋装店でそのワンピースは作られた。やがてふたたび戦争が起こり、新しい世界が訪れて……。一枚の洋服がたどる地球の未来。

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【『「誰でもよいあなた」へ——投壜通信』刊行記念】伊藤潤一郎 町屋良平

伊藤潤一郎さん『「誰でもよいあなた」へ——投壜通信』刊行を記念し、町屋良平さんによる書評と、著者による「本の名刺」を掲載。

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町屋良平さん「小説にとっての庭、そして「誰でもよいあなた」」

伊藤潤一郎さん「本の名刺」

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【秋のエッセイフェス】

今号はエッセイも盛りだくさん。「秋のエッセイフェス」に、11名の方に参加いただきました。

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石田光規さん「恋愛アニメの雪月花」

久保勇貴さん「星座が街に溶け込めば」

﨑川修さん「断ち切られた悲しみ」

末木新「「#国は安楽死を認めてください」について、どう考えるべきか」

武塙麻衣子さん「スナック涼のこと」

寺本愛さん「「おいしい」のリハビリ」

頭山ゆう紀さん「海を眺める」

徳田功さん「研究の愉しみ」

ひらいめぐみさん「ふたつか、ひとつか」

牧野智和さん「「教養としての」とは何なのか」

ユリ・アボさん「仏前のフェミニズム」

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【最終回】小川公代 田中純 古井由吉 【本の名刺】長嶋有

小川公代さん「翔ぶ女たち」、田中純さん「磯崎新論」、古井由吉さん「こんな日もある 競馬徒然草」が続々と完結・最終回を迎えています。「本の名刺」は10月26日に『トゥデイズ』を刊行された長嶋有さんにご寄稿いただきました。

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小川公代さん「翔ぶ女たち 「ザ・グレート・ウォー」———女たちの語りに耳をすます」

「傷」を抱える脆弱な人間は、いかにして戦争に傾く父権的な社会から「個」を奪われずに生きのびられるか。フェミニストとして生きる葛藤を抱えながら、世界に羽ばたく「彼女たち」を愛と祝福で包みこむ。

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田中純さん「磯崎新論」

作者にも解答できない謎が存在する。仕事が多岐多彩にわたる「磯崎新」という謎に迫る本格評論がついに完結。

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古井由吉さん「こんな日もある 競馬徒然草」

天気が毎日変わるように、勝つ日もあれば負ける日もある。競馬も人生も、続いていく。

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長嶋有さん「本の名刺」

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もくじ

文×論。

〈連作〉

  • 「耳たぶに触れる」小川洋子

 

〈中篇一挙掲載〉

  • 「春の苺」青木淳悟
  • 「猿の戴冠式」小砂川チト
  • 「コレクターズ・ハイ」村雲菜月

 

〈『マルクス解体 プロメテウスの夢とその先』刊行記念〉

  • 「資本主義の先にあるもの」斎藤幸平、聞き手・構成:斎藤哲也

 

〈『「誰でもよいあなた」へ——投壜通信』刊行記念〉

書評

  • 「小説にとっての庭、そして「誰でもよいあなた」」町屋良平

本の名刺

  • 「本の名刺」伊藤潤一郎

 

〈New Manual〉

  • 「ワンピース旅をする」山内マリコ

 

〈秋のエッセイフェス〉

  • 「恋愛アニメの雪月花」石田光規
  • 「星座が街に溶け込めば」久保勇貴
  • 「断ち切られた悲しみ」﨑川修
  • 「「#国は安楽死を認めてください」について、どう考えるべきか」末木新
  • 「スナック涼のこと」武塙麻衣子
  • 「「おいしい」のリハビリ」寺本愛
  • 「海を眺める」頭山ゆう紀
  • 「研究の愉しみ」徳田功
  • 「ふたつか、ひとつか」ひらいめぐみ
  • 「「教養としての」とは何なのか」牧野智和
  • 「仏前のフェミニズム」ユリ・アボ

 

〈続々完結・最終回〉

  • 「翔ぶ女たち〔4〕「ザ・グレート・ウォー」——女たちの語りに耳をすます」小川公代
  • 「磯崎新論〔24〕」田中純
  • 「こんな日もある〔34〕競馬徒然草」古井由吉

 

〈本の名刺〉

  • 「本の名刺」長嶋有

〈連載〉

    • 「口訳 太平記 ラブ&ピース 外道ジョンレノンを根絶せよ〔3〕」町田康
    • 「無形〔6〕」井戸川射子
    • 「多頭獣の話〔15〕」上田岳弘
    • 「鉄の胡蝶は歳月は夢に記憶に彫るか〔64〕」保坂和志
    • 「二月のつぎに七月が〔52〕」堀江敏幸
    • 「ハザマの思考〔3〕」丸山俊一
    • 「セキュリティの共和国——戦略文化とアメリカ文学〔4〕」新田啓子
    • 「星になっても〔4〕」岩内章太郎
    • 「ゲは言語学のゲ〔5〕」吉岡乾
    • 「養生する言葉〔6〕」岩川ありさ
    • 「メタバース現象考 ここではないどこかへ〔6〕」戸谷洋志
    • 「海をこえて〔5〕」松村圭一郎
    • 「群像短歌部〔6〕」木下龍也
    • 「チャンドラー講義〔7〕」諏訪部浩一
    • 「星沙たち、〔7〕」青葉市子
    • 「野良の暦〔14〕」鎌田裕樹
    • 「文化の脱走兵〔14〕」奈倉有里
    • 「庭の話〔17〕」宇野常寛
    • 「世界の適切な保存〔20〕」永井玲衣
    • 「なめらかな人〔21〕」百瀬文
    • 「言葉の展望台〔29〕」三木那由他
    • 「世界と私のA to Z〔22〕」竹田ダニエル
    • 「現代短歌ノート二冊目〔38〕」穂村弘
    • 「日日是目分量〔40〕」くどうれいん
    • 「星占い的思考〔45〕」石井ゆかり
    • 「〈世界史〉の哲学〔152〕」大澤真幸
    • 「文芸文庫の風景〔36〕」川勝徳重
    • 「文一の本棚〔6〕」年森瑛

 

〈書評〉

    • 田中慎弥『流れる島と海の怪物』:小池水音
    • 小川公代『世界文学をケアで読み解く』:高柳聡子