群像2023年8月号

【中篇一挙掲載】長嶋有 戌井昭人 鈴木涼美

今号巻頭は、長嶋有さん「トゥデイズ」一挙掲載。郊外の巨大マンション群を舞台に過ごす、三人家族の日常/今日。日本社会の「いま」がここに。

戌井昭人さん「一週間」、本誌創作初登場の鈴木涼美さんの「トラディション」。ふたつの中篇を一挙掲載しています。

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長嶋有さん「トゥデイズ」

郊外にある巨大なマンション群を舞台に、三人家族の日常はめぐる。
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戌井昭人さん「一週間」
わたしは今日も変わらず三つの塔を点検する。毎日がちゅららっと過ぎていく。
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鈴木涼美さん「トラディション」
歓楽街の七階にあるその店の入り口には、さまざまな匂いが現れては立ち消える。私は毎夜訪れるこの街の姫たちを、間仕切りごしに見つめている。
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【新連載】町田康 吉岡乾 グレゴリー・ケズナジャット 【連載拡大版】石戸諭

今号より、町田康さんの「町田日本史」新シリーズとして、大ヒット発売中の『口訳 古事記』に連なる「口訳 太平記 ラブ&ピース」がスタートします。町田さんが現代に甦らせる南北朝語りのはじまりです。

マイナー言語のフィールド調査を行っている、言語学者の吉岡乾さんの新連載エッセイ「ゲは言語学のゲ」も。

「群像Web」の新連載、グレゴリー・ケズナジャットさん「物語を探しに」の第1回を本誌にも掲載しています。

石戸諭さん「「後」の思考」拡大版では、WBC日本代表前監督の栗山英樹さんにふたたびインタビュー。

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「口訳 太平記 ラブ&ピース 外道ジョンレノンを根絶せよ」町田康
文永九年の音に耳をすませば、聞こえてくるは南北朝動乱の予兆。「町田太平記」のはじまりはじまり。
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吉岡乾さん「ゲは言語学のゲ」
所が変われば文化が変わる、言葉が変わる。言語学者がひもとく文化と言語の混交。
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グレゴリー・ケズナジャットさん「物語を探しに」
天の川を見たくなって伊豆半島へ出かけた―。偶然の出会いが想像を広げ物語に変容していく。「群像Web」オリジナル連載第一回を特別掲載。
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石戸論さん「「後」の思考」
「自分が思い描いた以上のシナリオを野球の神様が用意してくれた」。侍ジャパンを優勝に導いた栗山英樹監督の勝負師としての本質に迫る。


【インタビュー】平野啓一郎 【対談】國分功一郎×星野太

20年の歳月を費やした〝作家による作家論〟、平野啓一郎さん『三島由紀夫論』をめぐって。尾崎真理子さんによるインタビュー「三島由紀夫の性/生と死」をお届けします。

『食客論』刊行記念、星野太さんが國分功一郎さんと「寄生の哲学」について交わした対話を収録。

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「三島由紀夫の性/生と死」平野啓一郎、聞き手・尾崎真理子
三島の特異な思想はどのように醸成されていったのか。二〇年以上の歳月を費やした、作家による作家論・『三島由紀夫論』を解剖する著者インタビュー。
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「「寄生の哲学」をいかに語るか」國分功一郎さん×星野太さん
寛容と歓待の対立の中で、パラサイトはどこに位置づけられるのか。語りえぬものをめぐって―。
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【連作】伊藤春奈 【New Manual】燃え殻 【article】周東美材 山島凜佳

伊藤春奈さんの連作「ふたり暮らしの〈女性〉史」は第4回。日本人女性初のオリンピックメダリストと、同じ墓に入った女性との「絆」とは。

「文」×「論」×「服」―「New Manual」は、燃え殻さん「made in」をご寄稿いただきました。

「article」では、周東美材さんに「クィア文化アーカイブ」、山島凜佳さんに「政治参加」について記事にしていただきました。

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 伊藤春奈さん「ふたり暮らしの〈女性〉史」
夭折した日本人女性初のオリンピックメダリスト・人見絹枝の遺志を守り、七〇年の時を経て同じ墓に入った藤村蝶。八戸にあるふたりだけの墓前で、はかりしれない「絆」に思いをめぐらせる。
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燃え殻さん「made in」
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周東美材さん「クィア文化アーカイブをどのように作るか」
山島凜佳さん「「もしかして政治って私たちのもの?」FIFTYS PROJECTと目指す社会」
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【本の名刺】星野概念 【最終回】伊藤潤一郎 古川日出男

「本の名刺」は、本誌連載を改題刊行(『こころをそのまま感じられたら』)した星野概念さん。

伊藤潤一郎さん「投壜通信」、古川日出男さん「の、すべて」が最終回を迎えました。それぞれ弊社から単行本刊行予定です。

 


もくじ

文×論。

 

<巻頭一挙掲載>

「トゥデイズ」長嶋有

<待望の新シリーズスタート>

「口訳 太平記 ラブ&ピース 外道ジョンレノンを根絶せよ」町田康

<中篇一挙>

「一週間」戌井昭人

「トラディション」鈴木涼美

 

<新連載エッセイ>

「ゲは言語学のゲ」吉岡乾

「物語を探しに」グレゴリー・ケズナジャット

 

<インタビュー>

「三島由紀夫の性/生と死」平野啓一郎、聞き手=尾崎真理子

 

<『食客論』刊行記念対談>

「「寄生の哲学」をいかに語るか」國分功一郎×星野太

 

<連載拡大版>

「「後」の思考」石戸論

 

<連作>

「ふたり暮らしの〈女性〉史」伊藤春奈

 

<New Manual>

「made in」燃え殻

 

<article>

「クィア文化アーカイブをどのように作るか」周東美材

「「もしかして政治って私たちのもの?」 FIFTYS PROJECTと目指す社会」山島凜佳

 

<本の名刺>

こころをそのまま感じられたら』星野概念

 

<最終回>

「投壜通信」伊藤潤一郎

「の、すべて」古川日出男

<連載>

    • 「無形〔2〕」井戸川射子
    • 「タブー・トラック〔6〕」羽田圭介
    • 「多頭獣の話〔11〕」上田岳弘
    • 「鉄の胡蝶は記憶に歳月に夢は彫るか〔60〕」保坂和志
    • 「二月のつぎに七月が〔49〕」堀江敏幸
    • 「養生する言葉〔2〕」岩川ありさ
    • 「メタバース現象学 ここではないどこかへ〔2〕」戸谷洋志
    • 「言葉と物〔2〕」福尾匠
    • 「海をこえて〔2〕」松村圭一郎
    • 「群像短歌部〔2〕」木下龍也
    • 「チャンドラー講義〔3〕」諏訪部浩一
    • 「星沙たち、〔3〕」青葉市子
    • 「レディ・ムラサキのティーパーティー 姉妹訳 ウェイリー源氏物語〔9〕」毬矢まりえ×森山恵
    • 「野良の暦〔10〕」鎌田裕樹
    • 「「くぐり抜け」の哲学〔11〕」稲垣諭
    • 「庭の話〔13〕」宇野常寛
    • 「世界の適切な保存〔16〕」永井玲衣
    • 「なめらかな人〔17〕」百瀬文
    • 「磯崎新論〔20〕」田中純
    • 「地図とその分身たち〔21〕」東辻賢治郎
    • 「言葉の展望台〔26〕」三木那由他
    • 「世界と私のAtoZ〔19〕」竹田ダニエル
    • 「こんな日もある 競馬徒然草〔30〕」古井由吉
    • 「現代短歌ノート二冊目〔34〕」穂村弘
    • 「日日是目分量〔36〕」くどうれいん
    • 「星占い的思考〔41〕」石井ゆかり
    • 「所有について〔24〕」鷲田清一
    • 「国家と批評〔31〕」大澤聡
    • 「〈世界史〉の哲学〔149〕」大澤真幸
    • 「文芸文庫の風景〔32〕」M!DOR!
    • 「文一の本棚〔2〕」錦見映理子

<随筆>

    • 「「他人の趣味に干渉するな」、と言えなくなった」蘆田裕史
    • 「ぼくは言語」下西風澄
    • 「半歩先の未来を編集する」服部円
    • 「「善人とされている」」マリヲ
    • 「覚せい剤、レジ締め、炎上する自宅、新作バーガー。」水野しず
    • 「永遠の今日がその皮膚に」和田夏実

<書評>