群像2023年2月号(1月7日発売)
特別定価1550円
【新年短篇特集】黒井千次 三木 卓 川崎 徹 小池昌代 長野まゆみ 円城 塔 石沢麻依 | |
新年短篇特集は豪華7名の饗宴です。マジメで深刻な事態は、いつも冗談の顔をしてやってくる――。日常を通して見つめる、現代の老いのすがた。(黒井千次「消息)
家を訪ねてきた泥だらけの男は、娘に会いに来たと言って不敵に笑う。(三木 卓「来訪した者」)
生き死にと今日明日の暮らしで手一杯だったあの夏の日。経験したことのない過去の記憶が立ち上がる。(川崎 徹「まだ生まれていない、三年後に生まれる」)
「あなたみたいな人を探していたのよ」。週に三日、空き家管理の仕事をすることになった。腐敗臭のする家で、ずっしりとした時間の重みに和歌をかさねる日々。(小池昌代「Cloud On the 空き家」)
かすかな記憶は上書きされ、その風景は意識の中で景色へと変わってゆく。中学一年の春、入学式の列にぼくは兄を見つけた。(長野まゆみ「兄とぼくと、あのひと」)
時の止まったような雪の夜、砕波が記憶媒体カードを机に打つと、目の前に投影像が現れた。「わたしの名は」。像は視線を向ける。(円城 塔「レンダリング・タイムカプセル」)
不眠に陥ったあなたは、友人に誘われ獏の肉を食べる不眠者の集いに参加する。(石沢麻依「獏、石榴ソース和え」) |
【中篇一挙】湯浅真尋 【連作】柴崎友香 | |
隣人から届く奇妙な手紙たちを受け取るうちに、私は「忠実なる読み手」として目覚めていく――。新鋭による鮮烈作。(湯浅真尋「ディスタンス」)
砂漠のリゾートホテルで、「あの国」に巨大台風が直撃することをわたしは知る――、柴崎友香さんの連作「帰れない探偵」、今月は「砂漠の夜空に歌おう」。 |
【対談】藤原辰史×猪瀬浩平 | |
足もとからひろがる知の世界とは。市井の人びとの生と物言わぬ植物への思索をめぐり、歴史研究者と文化人類学者が語りあう。本誌連載が単行本化した藤原辰史さんの『歴史の屑拾い』とあわせてぜひ。(藤原辰史×猪瀬浩平「土、泥、そして屑と植物をめぐって」) |
【批評/ロング書評】樫村晴香 宮澤隆義 【論点】谷頭和希 | |
オイディプースとスピンクスの邂逅において何が生じ/生じえなかったのか。今もなお未決の問いとしてあるソポクレースの問題を思考する。(樫村晴香「人類最後の贈与――オイディプースとスピンクスの邂逅」)
イデオロギーが空洞化していくなか、ふたりの作家はいかに「エコノミーの問題」に向き合ったのか。(宮澤隆義「「生き延び」の光学――佐藤究/村田沙耶香論」)
資本=ネーション=国家の三位一体構造こそが、交換様式の力と歴史的変容の意味を解く鍵となる。「バーグルエン賞」を受賞した哲学者の新著を、『可能なるアナキズム』の著者が論じる。柄谷行人『力と交換様式』の長篇書評です。(山田広昭「希望の原理としての反復強迫」)
今月の論点は、谷頭和希さんの「テーマパークにダイブせよ!」です。 |
【二◯世紀鼎談】松浦寿輝×沼野充義×田中 純 【コラボ連載】中村沙絵 | |
インターネットによって生まれたユートピア/ディストピアをめぐって。松浦寿輝さん×沼野充義さん×田中純さんによる「二〇世紀の思想・文学・芸術」、第11回は「インターネットの出現」です。
現代新書編集部とのコラボ連載「SEEDS 現代新書のタネ」第12回は中村沙絵さん「ケアの文化人類学が現代日本にもたらすもの」。 |
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