群像2022年11月号(10月7日発売)
特別定価1590円
【新連載】上出遼平「歩山録」 鎌田裕樹「野良の暦」 【中篇一挙】紗倉まな 須賀ケイ グレゴリー・ケズナジャット | |
元テレビマンと元書店員による新連載が2本、スタートです。
夜明け前の新宿を出発した男は、奥多摩で登山道に入り、一週間の旅に出た。彼の足は、思索は、どこへ向かうのか。(上出遼平「歩山録」)
十年の本屋勤務を経て始めた農家見習い。畑の仕事を覚えるにつれ、見える風景も変わっていく。めぐる季節と日々の記録。(鎌田裕樹「野良の暦」)
収穫の秋、まさに今号は創作のハーベスト。中篇3本、一挙掲載しています。
夫の友人の結婚式に夫婦で参加することになっている。式に集まる旧友の中に、あの女がいるかもしれない―。(紗倉まな「見知らぬ人」)
妻との齟齬に満ちた日常がルリユールの身振りで修復されるとき、穏やかな時間が流れ始める。(須賀ケイ「蝶を追う」)
母が出て行ったサウスカロライナの家には、ラッセルには分からない父の故郷の言葉が流れていた。自分は、故郷に帰るのだろうか。(グレゴリー・ケズナジャット「開墾地」) |
【創作】石沢麻依 片岡義男 くどうれいん 津村記久子 長島有里枝 【連作】柴崎友香 | |
マグノリアの手のように見える白い花は、私が失った白い左手の記憶を呼び起こさせる。(石沢麻依「マグノリアの手」)
下北沢で昔から営業しているバーに、ようやく足を踏み入れた。玲子が店を預かったのは、高木が離婚した十四年前だという。(片岡義男「あのバーに入ってみた」)
ジューススタンドでアルバイトをしているばみちゃんは、店長の志摩さんの分厚い皮の剝き方が気になって仕方がない。(くどうれいん「キウイ縞々」)
祖父が遺した紙袋の中には、大量のペンが入っていた。形見の行く末を決めるため、私は「ひすい」さんに連絡をとった。(津村記久子「買い増しの顚末」)
あの日から一年が経つ。帰宅した睦が未土里に差し出したのは、ひまわりの小さなブーケだった。(長島有里枝「去年の今日」)
今から十年くらいあとの話。砂漠の国の巨大リゾートを訪れた探偵の「わたし」は依頼に忙しい。(柴崎友香「帰れない探偵 太陽と砂の街で」) |
【エッセイ】小川公代 温又柔 | |
小川公代さんにエリザベス女王について、温又柔さんには没後三〇年となった李良枝について、特別エッセイをご寄稿いただきました。
英国史上最長の在位を誇った女王の死。英文学者によるメモワール。(小川公代「エリザベス女王 ――唇を嚙み締めて」)
ずっと日本で育った。ほとんど日本語で生きてきた。しかし、日本人としては、生まれなかった。小説家同士の時代を越えた共鳴―。(温又柔「「不自由さ」のなかで書くこと――李良枝没後三〇年に寄せて」) |
【論点】枇谷玲子 羽佐田瑶子 三木那由他 【鼎談】二◯世紀の思想・文学・芸術 | |
論点は3本。枇谷玲子さん「私たちは今、自由なの?――ジェンダー平等先進国の実態と課題」では北欧フェミニズムを紹介。羽佐田瑶子さん「『ベイビー・ブローカー』×『PLAN 75』からあぶり出される、「自己責任」の顚末」は、話題の映画二作を取り上げ批評しています。三木那由他さん「「トランスジェンダー問題」を語り直す」は、10月に邦訳が刊行される『トランスジェンダー問題』について。
松浦寿輝さん、沼野充義さん、田中純さんによる鼎談「二〇世紀の思想・文学・芸術」が再開。今回は「エイティーズ――『空白』の時代」がテーマです。 |
【最終回】神田伯山 【コラボ連載】梅田孝太 | |
神田伯山さん 「講談放浪記」が最終回を迎えました。
現代新書編集部とのコラボ連載「SEEDS」、今月は梅田孝太さん「自殺してはいけない――ショーペンハウアーとともに考える」です。 |
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