
群像2022年10月号(9月7日発売)
特別定価1500円
【特集「弱さ」の哲学】片瀬チヲル 永井玲衣 三木那由他 稲垣 諭 工藤あゆみ 水上 文 江間有沙 栗田隆子 中村英代 | |
今月の特集は「「弱さ」の哲学」。肯定、否定、ジャッジ、言いきり――への、ためらいや戸惑い。言いよどみ、立ち止まって思考する、「ここにいる」わたしとあなたのこと。
休職中。一ヵ月後には復職することになっている。海の近くで暮らす早柚は、今日も砂浜でゴミを拾う。(片瀬チヲル「カプチーノ・コースト」)
哲学は人を強くさせるのか。「弱さ」とは何なのか。わからないから考える、哲学者ふたりによる回り道の真摯な対話。(永井玲衣×三木那由他「「弱さ」のこと……」)
他者の身体に、少しでも近づこうとすること。わたしたちはどこまでそれをくぐり抜け、向き合い、受け入れる準備ができているのか。思考を進めては疑って戻る、そのくりかえしによって、ひらける世界があるのか。(稲垣 諭「「くぐり抜け」の哲学」)
心の扉をノック、ノック。愛しくて切ない、不思議なパワーをもらえるユーモラスな絵と10の言葉。(工藤あゆみ「時が戻りませんように」)
「弱さ」からこぼれ落ちるものとはなにか―小説は「切り捨てられるもの」を描く。(水上 文「あなたを許さない――高瀬隼子作品と弱さをめぐる捻れについて」)
もっと効率的に、もっと便利に。「強い」技術が、「弱い」わたしたちを支えてくれる。そこでいったん立ち止まる。はたしてわたしたちは、どのような社会に住みたいのだろうか?(江間有沙「人間とロボットのコミュニケーションの可能性――「弱さ」から考える技術の活かし方」)
社会的弱者による「弱さ」の語りは、時として受け容れられないことがある。「弱さ」を語り出すときに生じる力、それに対する反応と物語をめぐって。(栗田隆子「おのが社会的弱さを語ること――それを取り巻く力について」)
やめたいのに、やめられない。依存症回復コミュニティの実践を通して、自分や他者の、ままならない弱さに光をあてる。(中村英代「〈意志の力〉への信仰がゆらぐ時代に――「弱さ」の可能性」) |
【創作】上田岳弘 長島有里枝 宮内悠介 | |
かつて存在した完璧な文章を取り戻すために、人類はどこに向かうべきなのか。――こころがすべてだ。こころが体の活動を生んで、それが世界を作ってきた。そう思わない?(上田岳弘「多頭獣の話」)
未土里は自分の叫び声で目が覚めた。ピビちゃんの生まれ変わりの夢を見たせいだ。(長島有里枝「チャイとミルク」)
ジョンが終生手を入れつづけたMMORPG「ヴィハーラ」にははじめ、世間的な観点において何もなかった。それが、すべてのはじまりだった。(宮内悠介「国歌を作った男」) |
【新連載】奈倉有里 【特別寄稿】鷲田清一 【エッセイ】関口涼子 | |
大好きなあの人のこと、詩と文学と、彼らが生きた時代と場所に、思いを馳せて。『夕暮れに夜明けの歌を』で話題の著者が、思いのままにロシアを語る、愛に満ちた連載がスタート。(奈倉有里「文化の脱走兵」)
精神と身体。ともに傷つきやすい人間の〈生〉の根源にじかに触れ、蘇生、躍動させたふたりの業に迫る。(鷲田清一「中井久夫、そして三宅一生――生きてあることの地肌へ」)
人々を生につなぎ止める匂いとは。「戦時下の食」を考える。(関口涼子「戦争の匂いがかぐわしかったことなど一度もない」) |
【批評】安藤礼二 【対談】小峰ひずみ×戸谷洋志 | |
空海の「両部の大法」と「護国」はどのようにして完成したのか。(安藤礼二「空海」)
言葉を用いることは、既存のシステムに抗っていくひとつの可能性である。哲学研究者と批評家による、熱気あふれる対話。(小峰ひずみ×戸谷洋志「結ぶ技術、対話の可能性をめぐって」) |
【article】奥野 斐 【論点】尾久守侑 【最終回】松村圭一郎 若松英輔 | |
東京新聞(中日新聞東京本社)社会部記者の奥野 斐さんに参院選をふりかえるarticle「選挙とジェンダー、LGBT――「多様性」を巡る公約点検」をご寄稿いただきました。
論点は、作家であり精神科医である 尾久守侑さん による「〈偽物〉とは何か」。
松村圭一郎さん 「旋回する人類学」、若松英輔さん 「見えない道標」が最終回を迎えました。 |

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