群像2021年5月号(4月7日発売)
特別定価1500円
【短篇】川上弘美 町田 康 | |
対談で訪れた出版社の担当編集者・弓田ミナトが口にした、思わぬ事実。(川上弘美「そういう時に限って冷蔵庫の中のものが」) 葦原中国を平定するため神を遣わすものの誰も帰ってこない。町田版「国譲り神話」。(町田 康「天之忍穂耳命と邇邇芸命」) |
【中篇】松波太郎「王国の行方」 藤代 泉「姫沙羅」 湯浅真尋「導くひと」 | |
言葉をきちんと覚えなくちゃいけないなんて誰が決めたんだろう。「命の成長」をユニークに描く意欲作。(松波太郎「王国の行方――二代目の手腕」) かつて馬が見つめていた場所に、父は姫沙羅の木を植えた。不器用にしか生きられない私たちの静謐な物語。(藤代 泉「姫沙羅」) 「一ノ瀬さんがいなくなりました」。彼はなぜ消えたのか、魂の遍歴。群像新人文学賞受賞後第一作。(湯浅真尋「導くひと」) |
小特集「旅」【創作】上田岳弘 倉数 茂 津村記久子 藤野可織 【アンケート】「想い出の駅」 | |
まるで自分の人生じゃないみたいだ。隣で運転する男はアクセルを踏み込む。(上田岳弘「旅のない」) お父さん、この中にいるの。中に入っちゃったの――。(倉数 茂「父の箱」) キヨはゲームの中の地図から架空の都市を作り、レポート用紙に書き込んでは授業中にアサに見せていた。(津村記久子「イン・ザ・シティ」) 事件が起きなかったら知ることもなかった少女の死。わたしは花束を持って現場へ向かう。(藤野可織「花束」) 起点、終点、通過点。51人の駅の記憶。(アンケート「想い出の駅」) |
【新連載】星野 太「食客論」 三木那由他「言葉の展望台」 竹田ダニエル「世界と私のA to Z」 | |
友でも敵でもない曖昧な他者=パラサイトの原理を追究する。ロラン・バルトの問いを継ぐパラサイトロジーの試み。(星野 太「食客論」) コミュニケーションは謎に満ちている。言語で日常を捉え直すと、新しい風景が見えてくる。(三木那由他「言葉の展望台」) 我々は地続きの今を生きている。アメリカ在住のZ世代が綴る時事エッセイ。(竹田ダニエル「世界と私のA to Z」) |
【鼎談】吉田恭子×小野正嗣×辛島デイヴィッド 【対談】小川公代×中村佑子 | |
大学の文芸創作科、変わる文芸誌、エージェントの役割……。英米でのデビューの背景はどうなっているのか。(吉田恭子×小野正嗣×辛島デイヴィッド「英語圏で「作家になる」こと」) 「母」に新たな意味を見出し、不可視化されている社会を攪乱する。「ケア」の倫理を探る対話。(小川公代×中村佑子「不可視化されている私たちの言葉の居場所」) |
〈創作〉そういう時に限って冷蔵庫の中のものが 川上弘美天之忍穂耳命と邇邇芸命 町田 康王国の行方――二代目の手腕 松波太郎姫沙羅 藤代 泉導くひと 湯浅真尋
【小特集「旅」】〈創作〉旅のない 上田岳弘父の箱 倉数 茂イン・ザ・シティ 津村記久子花束 藤野可織〈アンケート〉想い出の駅青木 淳/青山 潤/有栖川有栖/イザベラ・ディオニシオ/石田 千/石原良純/市原佐都子/戌井昭人/犬飼勝哉/岩阪恵子/尾形真理子/荻上直子/角幡唯介/香山 哲/川内有緒/上妻世海/こだま/小松由佳/佐伯一麦/坂本千明/紗倉まな/椎名 誠/神 慶太/諏訪哲史/たかのてるこ/田中慎弥/辻 琢磨/辻原 登/津村節子/徳永圭子/沼野充義/野々すみ花/乗代雄介/橋本倫史/原 武史/パリッコ/平松洋子/星野博美/前田司郎/益田ミリ/松井 周/松永美穂/三木三奈/連 勇太朗/安田菜津紀/山下澄人/山下 優/山本 亮/横山悠太/吉川祥一郎/米田夕歌里 〈新連載〉食客論 星野 太言葉の展望台 三木那由他世界と私のA to Z 竹田ダニエル〈批評〉二度目の永劫回帰 樫村晴香嫉妬が大好きなあなたたちへ 山本 圭〈『文芸ピープル』刊行記念鼎談〉英語圏で「作家になる」こと 吉田恭子×小野正嗣×辛島デイヴィッド〈特別対談〉不可視化されている私たちの言葉の居場所 小川公代×中村佑子〈最終回〉ハロー、ユーラシア 福嶋亮大〈コラボ連載〉DIG 現代新書クラシックス〔5〕 どのような新書をつくるか 佐々木雄一 | 〈連載〉見えない道標〔3〕 若松英輔 戒厳〔6〕 四方田犬彦 はぐれんぼう〔10〕 青山七恵 ゴッホの犬と耳とひまわり〔16〕 長野まゆみ 鉄の胡蝶は歳月に記憶を夢に彫るか〔33〕 保坂和志 スマートな悪 技術と暴力について〔2〕 戸谷洋志 こんな日もある 競馬徒然草〔3〕 古井由吉 旋回する人類学〔3〕 松村圭一郎 ポエトリー・ドッグス〔4〕 斉藤 倫 マルクスる思考〔8〕 斎藤幸平 硝子万華鏡〔8〕 日和聡子×ヒグチユウコ 現代短歌ノート二冊目〔8〕 穂村 弘 日常の横顔〔9〕 松田青子 日日是目分量〔9〕 くどうれいん 薄れゆく境界線 現代アメリカ小説探訪〔12〕 諏訪部浩一 歴史の屑拾い〔13〕 藤原辰史 「近過去」としての平成〔14〕 武田砂鉄 「ヤッター」の雰囲気〔14〕 星野概念 星占い的思考〔14〕 石井ゆかり 辺境図書館〔15〕 皆川博子 国家と批評〔14〕 大澤 聡 〈世界史〉の哲学〔132〕 大澤真幸 文芸文庫の風景〔5〕 六角堂DADA 極私的雑誌デザイン考〔16〕 川名 潤 文芸文庫通信〔3〕 〈随筆〉春と朝食 山田佳奈 〈書評〉『さのよいよい』戌井昭人 小山田浩子 『翻訳教室 はじめの一歩』鴻巣友季子 阿部公彦 『デヴィッド・ボウイ 無を歌った男』田中 純 細馬宏通 『原子力の哲学』戸谷洋志 小林エリカ 〈創作合評〉「最後の挨拶 His Last Bow」小林エリカ 「氷柱の声」くどうれいん 「誰にも奪われたくない」児玉雨子 野崎 歓×小澤英実×水原 涼 |