群像2020年12月号

中篇一挙掲載 乗代雄介「旅する練習」

「歩く、書く、蹴る」――。小説家の私はサッカー少女の姪っ子と練習の旅にでる。書くことで世界を見つめる気鋭の意欲作。乗代雄介の240枚中篇「旅する練習」を一挙掲載!


新連載 四方田犬彦/連作 町屋良平/三島由紀夫トリビュート 古川日出男

四方田犬彦の新連載「戒厳」。町屋良平の連作第二回「ほんのこどものほん」。古川日出男による三島由紀夫トリビュート「金閣」


第64回群像新人評論賞発表

第64回群像新人評論賞発表! 内山葉杜「事後と渦中 ――武田泰淳論」に決定(優秀作)。東浩紀/大澤真幸/山城むつみによる選評を掲載。


短期集中新連作 小川公代「ケアの倫理とエンパワメント――ヴァージニア・ウルフと「男らしさ」」

大坂なおみ選手の行動が心を打ちのはなぜか。「男性的」なものと「女性的」なものが、矛盾せず同居する「ケアの倫理」を考察していく。小川公代の短期集中新連作「ケアの倫理とエンパワメント――ヴァージニア・ウルフと「男らしさ」」


論点 重田園江 鴻巣友季子 中井亜佐子 疋田万里

今月の論点は重田園江「時代の転換点にフーコーを読む」、鴻巣友季子「「あり得ない世界」にいる私たち――アトウッド『侍女の世界』『誓願』におけるアクチュアリティ」、中井亜佐「コピー・アンド・ペースト――ヴァージニア・ウルフとともに、仕事をする」、疋田万里「監視社会と無思想を是とする、日本」を掲載。


もくじ

〈創作〉

旅する練習  乗代雄介

〈新連載〉

戒厳  四方田犬彦

〈連作〉

ほんのこどものほん  町屋良平

〈三島由紀夫トリビュート〉

金閣  古川日出男

〈批評〉

ケアの倫理とエンパワメント――ヴァージニア・ウルフと「男らしさ」  小川公代

スパイの妻と、その夫  佐々木敦

この道の未来はイギリスに聞け  松尾匡

〈連作〉

大江健三郎と「晩年の仕事」〔4〕  工藤庸子

非人間〔5〕  大澤信亮

新しい「日本文学」を編む海外編集者たち 文芸ピープル++  辛島デイヴィッド

〈第64回群像新人評論賞発表〉

優秀作「事後と渦中 ――武田泰淳論」  内山葉杜

選評:東浩紀/大澤真幸/山城むつみ

〈論点〉

時代の転換点にフーコーを読む 重田園江

「あり得ない世界」にいる私たち――アトウッド『侍女の世界』『誓願』におけるアクチュアリティ  鴻巣友季子

コピー・アンド・ペースト――ヴァージニア・ウルフとともに、仕事をする  中井亜佐子

監視社会と無思想を是とする、日本  疋田万理

〈article〉

「フェミニスト出版社を立ち上げて、営むということ」  丸尾宗一郎

〈最終回〉

連続対談「近代日本150年を読み解く 現代篇」  富岡幸一郎×佐藤優

〈連載〉

はぐれんぼう〔5〕  青山七恵

ゴッホと犬と耳とひまわり〔11〕 長野まゆみ

鉄の胡蝶は歳月は記憶の夢は彫るか〔28〕  保坂和志

二月のつぎに七月が〔33〕  堀江敏幸

マルクスる思考〔3〕  斎藤幸平

硝子万華鏡〔3〕  日和聡子×ヒグチユウコ

日常の横顔〔4〕  松田青子

日日是目分量〔5〕  くどうれいん

Nの廻廊〔5〕  保阪正康

薄れゆく境界線 現代アメリカ小説探訪〔7〕  諏訪部浩一

ハロー、ユーラシア〔7〕  福嶋亮大

歴史の屑拾い〔8〕  藤原辰史

「近過去」としての平成〔9〕  武田砂鉄

「ヤッター」の雰囲気〔9〕  星野概念

星占い的思考〔9〕  石井ゆかり

所有について〔10〕  鷲田清一

辺境図書館〔10〕  皆川博子

国家と批評〔9〕  大澤聡

〈世界史〉の哲学〔129〕  大澤真幸

私の文芸文庫〔12〕  山崎まどか

極私的雑誌デザイン考〔11〕  川名潤

〈随筆〉

シェイクスピアの「姉」  イザベラ・ディオニシオ

「大人の求めるZ世代象」への違和感  竹田ダニエル  

電子的対話と宇宙飛行  戸谷洋志

映画『タクシー運転手』にて光州事件を追体験する  百木漠

栞も本屋も読書の一部  砂川昌広

〈書評〉

『獄中シェイクスピア劇団』マーガレット・アトウッド  河合祥一郎

『死神の棋譜』奥泉光  貴志祐介

『三度目の恋』川上弘美  江南亜美子

『人新生の「資本論」』斎藤幸平  山本圭

『わかりやすさの罪』武田砂鉄  古田徹也

『われもまた天に』古井由吉  佐々木中

『心は孤独な狩人』カーソン・マッカラーズ  小澤身和子

『愚行の賦』四方田犬彦  片岡大右

〈創作合評〉

中条省平×松永美穂×蜂飼耳

井戸川射子「ここはとても速い川」(「群像」十一月号)

大前粟生「おもろい以外いらんねん」(「文藝」冬号)

仙田学「剥きあう」(「文學界」十一月号)