群像2020年1月号

新連載小説

長野まゆみ「ゴッホの犬と耳とひまわり」

雨の午後、小包みを受け取ったぼくは長い送り状を読み始める。そこには、同封した家計簿の写しの余白にある落書きを読み解いてほしい、もしかしたらあのゴッホの直筆かもしれないとあった。


新年短篇特集 競作24人

瀬戸内寂聴、皆川博子、髙樹のぶ子、高橋源一郎、髙村薫、山尾悠子、保坂和志、川上弘美、小池昌代、多和田葉子、飛浩隆、町田康、磯崎憲一郎、古川日出男、東山彰良、阿部和重、長嶋有、上田岳弘、松田青子、藤野可織、滝口悠生、青山七恵、町屋良平、山田由梨


野間文芸賞・野間文芸新人賞発表

松浦寿輝 古谷田奈月 千葉雅也

第72回野間文芸賞を松浦寿輝『人外』が受賞。そして第41回野間文芸新人賞を、古谷田奈月『神前酔狂宴』、千葉雅也『デッドライン』の二作が受賞。


論点

保阪正康 斎藤幸平 石井ゆかり 日野原慶

ポスト・モダンの時代とは異なり、グランドセオリー(一般理論)への欲求が確実にある。今月の「群像」の論点――「天皇制」「気候危機とマルクス」「占い」「ルシア・ベルリン」


新連載エッセイ「私の文芸文庫」&新連載・川名潤「極私的雑誌デザイン論」

新連載エッセイ「私の文芸文庫」(第一回は小川洋子「油断できない」を掲載)と、本誌の装丁を手掛ける川名潤による新連載コラム「極私的雑誌デザイン考」がスタート!


もくじ

〈新連載小説〉

ゴッホの犬と耳とひまわり  長野まゆみ

〈新年短篇特集〉

見るな  瀬戸内寂聴

焚書類聚  皆川博子

タンパク  髙樹のぶ子

カズイスチカ  高橋源一郎

星を送る  髙村 薫

漏斗と螺旋  山尾悠子

UFOとの対話  保坂和志

恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ  川上弘美

ぶつひと、ついにぶたにならず  小池昌代

わたし舟  多和田葉子

未の木  飛 浩隆

神xyの物語  町田 康

我が人生最悪の時  磯﨑憲一郎

M――「怨む御霊」考  古川日出男

猿を焼く  東山彰良

Green Haze  阿部和重

あら丼さん 長嶋 有

最後の恋  上田岳弘

クレペリン検査はクレペリン検査の夢を見る  松田青子

トーチカ  藤野可織

隕石  滝口悠生

猪垣  青山七恵

ほんのこども  町屋良平

目白ジャスミンティー  山田由梨

〈野間文芸賞・野間文芸新人賞発表〉

第72回野間文芸賞受賞作

「人外」  松浦寿輝

第41回野間文芸新人賞受賞作

「神前酔狂宴」  古谷田奈月

「デッドライン」  千葉雅也

受賞のことば/選評(小川洋子 島田雅彦 高橋源一郎 長嶋 有 保坂和志 星野智幸)

〈論点〉

上皇は国民になにを問いかけているのか  保阪正康

気候危機と世界の左翼  斎藤幸平

占いは「アリ」か。――確率と人生のあいだ  石井ゆかり

取り残された人たちへの回路  日野原慶

〈新連載エッセイ〉

私の文芸文庫『鳴る風鈴 木山捷平ユーモア小説集』

油断できない  小川洋子

〈新連載コラム〉

極私的雑誌デザイン論  川名 潤

〈連載〉

チーム・オベリベリ〔14〕  乃南アサ

ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain〔23〕  ブレイディみかこ

LA・フード・ダイアリー〔4〕  三浦哲哉

愚行の賦〔6〕  四方田犬彦

人間とは何か──フランス文学による感情教育──〔30〕   中条省平

〈世界史〉の哲学〔122〕  大澤真幸

現代短歌ノート〔116〕  穂村 弘

〈随筆〉

夢みる天女  加須屋誠

トロピカル・サーキット  百瀬 文

〈書評〉

「おかえり」の中身(『私の家』青山七恵)  倉本さおり

こちらとあちらを結ぶもの(『小箱』小川洋子)  藤代 泉

徹底した受動性の肯定的転回(『読書実録』保坂和志)  郡司ペギオ幸夫

死者の目(『人間』又吉直樹)  橋本倫史

記憶の欠片を輝かせるには(『ファースト クラッシュ』山田詠美)  瀧井朝世

生真面目な人々の「逃亡文学」(『犯罪小説集』吉田修一)  酒井 信

〈創作合評〉

東 直子×宮下 遼×町屋良平

「最高の任務」乗代雄介(群像2019年12月号)

「青いポポの果実」三国美千子(新潮2019年12月号)

「星月夜」李琴峰(すばる2019年12月号)