群像2019年11月号

巻頭特集 

大江健三郎の〈現代性〉Ⅱ

「大江健三郎全小説」がついに完結。野心的な評論特集第二弾。巻頭特集 大江健三郎の〈現代性〉Ⅱ 工藤庸子「ドン・キホーテからロリータへーー大江健三郎と「晩年の仕事(レイト・ワーク)」」 高原到「テロリストが、生まれるーー「セヴンティーン」「政治少年死す」試論」 成田龍一「方法としての「書き直し」・序説ーーいま、大江健三郎を読むこと」


創作 

舞城王太郎「畏れ入谷の彼女の柘榴」 藤代泉「楓橋夜泊」 野口武彦「崩し将棋」

妻の不思議な妊娠、息子の光る指。俺は謎に直面する。愛と家族を求めて。舞城王太郎の創作「畏れ入谷の彼女の柘榴」。大陸のバスに揺られ、一体どこへ向かうのか。藤代泉の創作「楓橋夜泊」。幕末江戸を舞台に上野の悪童連がみた景色を描く、野口武彦の創作「崩し将棋」


小特集 

島本理生の世界

純文学とエンタメをまたぎ、光と暗闇のあわいを見つめ続ける作家の輪郭。小特集「島本理生の世界」では、藤崎彩織との対談「小説、音楽、ジャンルを超える言葉」、島本自身によるエッセイ「『夜 は お し ま い』ーー単行本のあとがきにかえて」阿部公彦による評論「元純文学作家の職業意識」鈴木涼美による評論「穴だらけの檻の中で」を掲載。


刊行記念対談 

中沢新一×島田雅彦「来たるべきヒューマニティ」 

『レンマ学』と『君が異端だった頃』という集大成的新著を書きあげた二人による、人類の未来のための対話。中沢新一×島田雅彦「来たるべきヒューマニティ」 


論点 

四方田犬彦 福嶋亮大

今月の「群像」の論点として、四方田犬彦「われらが〈無意識〉なる韓国」、福嶋亮大「文化史における『三体』」を掲載。


もくじ

〈巻頭特集〉

大江健三郎の〈現代性〉Ⅱ

ドン・キホーテからロリータへーー大江健三郎と「晩年の仕事」  工藤庸子

テロリストが、生まれる――「セヴンティーン」「政治少年死す」試論  高原 到

方法としての「書き直し」・序説――いま、大江健三郎を読むこと 成田龍一

〈創作〉

畏れ入谷の彼女の柘榴  舞城王太郎

楓橋夜泊  藤代 泉

崩し将棋 野口武彦

〈小特集〉

島本理生の世界

小説、音楽、ジャンルを超える言葉  藤崎彩織×島本理生

『夜 は お し ま い』ーー単行本のあとがきにかえて  島本理生

元純文学作家の職業意識  阿部公彦

穴だらけの檻の中で  鈴木涼美

〈刊行記念対談〉

来たるべきヒューマニティ  中沢新一×島田雅彦

〈論点〉

われらが〈無意識〉なる韓国  四方田犬彦

文化史における『三体』  福嶋亮大

〈連載完結〉

帝国の黄昏〔16〕  花村萬月

〈連作〉

会いに行ってーー静流藤娘紀行〔4〕  笙野頼子

〈連載〉

チーム・オベリベリ〔12〕  乃南アサ

鉄の胡蝶は歳月の記憶に夢は彫るか〔16〕  保坂和志

おおきな森〔23〕   古川日出男

ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain〔21〕ブレイディみかこ

愚行の賦〔4〕  四方田犬彦

全体論と有限 ーひとつの「小説」論ー〔12〕 佐々木 敦

人間とは何か──フランス文学による感情教育──〔28〕   中条省平

〈世界史〉の哲学〔120〕  大澤真幸

現代短歌ノート〔114〕  穂村 弘

〈随筆〉   

Nの油絵  向井康介

気づかないふりでまわす信頼と友情  小川さやか

体重計が測るもの  久保友香

分解者としての歴史学者  藤原辰史

感じたらこの法螺貝を吹いてください  福尾 匠

新しいアメリカの風景  ミヤギフトシ

〈書評〉

小説の神との格闘(『格闘』髙樹のぶ子)  清水良典

アイデンティティとシティズンシップの狭間で(『「差別はいけない」とみんないうけれど。』綿野恵太)  千葉雅也  

記憶に隠された静かな怒り(『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』高山羽根子)  長瀬 海

〈創作合評〉 

東 直子×宮下 遼×町屋良平

「百の剣」倉数 茂(「群像」2019年10月号)

「アフロディーテの足」太田靖久(「群像」2019年10月号)

「仮の林」牧田真有子(「文學界」2019年10月号)