群像2019年7月号(6月7日発売)
定価(税込):1000円
創作二篇160枚 西村賢太「瓦礫の死角」「病院裏に埋める」 | |
「聞いて欲しいことがあるんだけど」母の克子が幽鬼のような声で、不安に押し潰されたような声で、貫多に呼びかける――。”あの人”の影が、差している。西村賢太の創作「瓦礫の死角」「病院裏に埋める」。藤澤清造の新発見原稿「乳首を見る」(校訂・解題/西村賢太)も掲載。 |
新鼎談シリーズ 松浦寿輝×沼野充義×田中 純 「徹底討議 二〇世紀の思想・文学・芸術」 | |
われわれはどこから来てどこへ行くのか。情報化・グローバル化が加速するいま、現代世界の根幹を形成した二〇世紀を捉え直す必要がある。巨大な問いにアプローチする連続鼎談。松浦寿輝×沼野充義×田中 純「徹底討議 二〇世紀の思想・文学・芸術」第一回「世紀の開幕」 |
短篇90枚 佐藤洋二郎「虹」 | |
そうとおくない日にこの世から消える。あっという間の人生だったが、忘れ物をしたようにその人のことを思い浮かべていた。彼女がわたしに会いたいと言っているという。佐藤洋二郎の短篇90枚「虹」 |
評論100枚 高原到「二つのフィリピン戦――大岡昇平、奥泉光における「死者の顔」」 | |
戦争体験者である大岡昇平と戦後生まれの奥泉光。二人の作家の戦争小説の間に存在する連続と断絶を主題に、戦争小説のゆくえを見つめなおす。高原到の評論100枚「二つのフィリピン戦――大岡昇平、奥泉光における「死者の顔」」 |
追悼 加藤典洋 竹田青嗣 原武史 | |
「敗戦後論」をはじめとする批評で社会と文学に向き合ってきた批評家・加藤典洋が5月16日、71歳の若さで亡くなった。同時期に批評をはじめた竹田青嗣と明治学院大学で同僚だった原武史による追悼文を掲載。竹田青嗣「魚は網よりも大きい」原武史「追憶」 |
〈創作二篇160枚〉瓦礫の死角病院裏に埋める 西村賢太〈新発見原稿〉乳首を見る 藤澤清造(校訂・解題/西村賢太)〈新鼎談シリーズ〉徹底討議 二〇世紀の思想・文学・芸術 第一回「世紀の開幕」 松浦寿輝×沼野充義×田中純〈短篇90枚〉虹 佐藤洋二郎〈追悼 加藤典洋〉魚は網よりも大きい 竹田青嗣追憶 原武史〈評論100枚〉二つのフィリピン戦――大岡昇平、奥泉光における「死者の顔」 高原到〈連作〉会いに行って――静流藤娘紀行〔2〕 笙野頼子〈連載〉その日まで〔10〕 瀬戸内寂聴 星に仄めかされて〔7〕 多和田葉子 チーム・オベリベリ〔8〕 乃南アサ 鉄の胡蝶は夢の歳月の記憶に彫るか〔12〕 保坂和志 帝国の黄昏〔12〕 花村萬月 御社のチャラ男〔15〕 絲山秋子 | おおきな森〔19〕 古川日出男 ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain〔17〕ブレイディみかこ 全体論と有限 ーひとつの「小説」論ー〔8〕 佐々木 敦 出雲神話論〔22〕 三浦佑之 人間とは何か──フランス文学による感情教育──〔24〕 中条省平 〈世界史〉の哲学〔116〕 大澤真幸 現代短歌ノート〔110〕 穂村 弘 〈随筆〉氷白玉ーー永井荷風の食膳 南條竹則 やさしいの話 大前粟生 会社員の味 平野紗季子 金持ちごみから学ぶ思考 滝沢秀一 〈書評〉ひどい現実に、無力な小説ができること(『つみびと』山田詠美) 清水良典 手放した男と手放さなかった男(『ポルシェ太郎』羽田圭介) 新庄 耕 タンギーの霧を超えて(『キュー』上田岳弘) 藤井太洋 私たちの不穏さ(『父と私の桜尾通り商店街』今村夏子) 水原 涼 〈創作合評〉 佐伯一麦×陣野俊史×石田 千 「先生と私」畠山丑雄(「群像」2019年6月号) 「百の夜は跳ねて」古市憲寿(「新潮」2019年6月号) 「五つ数えれば三日月が」李 琴峰(「文學界」2019年6月号) |