群像2019年2月号

特集 文学にできることを Ⅱ〈短篇創作〉

佐伯一麦、町田 康、西村賢太、円城 塔

読むことで、書くことで、人は体験する。――何を? それは、一人ひとり、異なるかもしれない、同じであるかもしれない。シリーズ第二弾、短篇創作特集。佐伯一麦「ななかまど、ローワンツリー」、町田康「はなれて遠き」、西村賢太「四冊目の『根津権現裏』」、円城 塔「わたしたちのてばなしたもの」


創作 リービ英雄「西の蔵の声」

大陸から島国へ、そしてまた別の大陸へ。なぜ人は移動するのか。西の果てのホテルで、寺院で、あの人の声が去来する――。「越境」の作家がたどりついた新境地。リービ英雄の創作「西の蔵の声」


特別鼎談 安藤礼二×中島岳志×若松英輔「大拙、その可能性と不可能性」

インド、日本、アメリカ、ヒンドゥー教と大乗仏教と一神教、そして神秘主義思想。様々な可能性を秘めた鈴木大拙の全貌に迫り、日本近代思想史、近代表現史の書き換えを試みる。安藤礼二×中島岳志×若松英輔の特別鼎談「大拙、その可能性と不可能性」


連続対談 富岡幸一郎×佐藤 優「「危機の時代」を読み解く Ⅲ 国家の本質」

社会システムが崩壊し、目に見えないものが〈世界〉を動かす今、我々はどう生き抜くのか。〈文学〉と〈神学〉の視点から現代を縦横に語り合う連続対談第三回。国家とはなにか。その本質をめぐって徹底討論する。富岡幸一郎×佐藤 優の連続対談「「危機の時代」を読み解く Ⅲ」


新連載第2回 多和田葉子「星に仄めかされて」

多和田葉子の新連載「星に仄めかされて」第2回では、ドクター・ヘルマーが語る。「どうやら自分はこの病院内であまりいい印象を持たれていないらしい。そんなことはインガに出会うまで思ってもみなかった」


もくじ

〈特集 文学にできることを Ⅱ〈短篇創作〉〉

ななかまど、ローワンツリー  佐伯一麦

はなれて遠き  町田 康

四冊目の『根津権現裏』  西村賢太

わたしたちのてばなしたもの  円城 塔

〈創作〉

西の蔵の声  リービ英雄

〈特別鼎談〉

大拙、その可能性と不可能性  安藤礼二×中島岳志×若松英輔

〈連続対談)

「危機の時代」を読み解く Ⅲ 国家の本質  富岡幸一郎×佐藤 優

〈連載〉

その日まで〔6〕  瀬戸内寂聴

湘南夫人〔7〕  石原慎太郎

星に仄めかされて〔2〕  多和田葉子

チーム・オベリベリ〔3〕  乃南アサ

鉄の胡蝶は夢と歳月に記憶は彫るか〔7〕  保坂和志

御社のチャラ男〔10〕   絲山秋子

帝国の黄昏〔8〕  花村萬月

おおきな森〔14〕   古川日出男

二月のつぎに七月が〔20〕  堀江敏幸

ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain〔12〕ブレイディみかこ

出雲神話論〔17〕  三浦佑之

人間とは何か──フランス文学による感情教育──〔19〕   中条省平

たましいを旅するひと――河合隼雄〔23〕  若松英輔

〈世界史〉の哲学〔112〕  大澤真幸

現代短歌ノート〔105〕  穂村 弘

〈随筆〉   

虚構と、疑うということ  柴田裕之

もらったもの  三国美千子

北條君と過ごしたインド  山野辺太郎

自炊男爵飄々記  川勝徳重

〈書評〉

宿命を断ち切る(『流転の海 第九部 野の春』宮本 輝)  榎本正樹

業のカルテからのささやき(『不意撃ち』辻原 登)  三輪太郎

因果と業の輝き(『羅針盤は壊れても』西村賢太)  藤沢 周

説明的虚無に殉じるアンチ「アンチミステリー」(『その先の道に消える』中村文則)  石橋正孝

恋と創造と家族と出産(『私はあなたの瞳の林檎』『されど私の可愛い檸檬』舞城王太郎)  陣野俊史

〈創作合評〉 

松浦理英子×鴻巣友季子×苅部直

「ストロングゼロ」金原ひとみ(新潮2019年1月号)

「陶片」沼田真佑(文學界2019年1月号)

「ラッコの家」古川真人(文學界2019年1月号)