群像2018年2月号

新連載

中沢新一「レンマ学」

待望の新連載がスタート! 大乗仏教に望みあり。かつて南方熊楠はそう記した。西欧で発達したロゴス的論理とまったく異質の発展をとげたレンマ的知性。現代科学や数学の領域でも注目を集めるレンマ的知性とは何か――新しい「学」が、いま始まる。中沢新一の新連載「レンマ学」


歳時創作シリーズ 弐 季・憶 Ki-Oku

花村萬月「東風解凍」 村田沙耶香「土脉潤起」 津村節子「桃始笑」

時の揺らめき、大気の手ざわり、絶え間なき生の運動。作家の想像力で繫ぐひととせ――二十四節気七十二候――の季節の記憶。一年をとおした読み切り掌篇大特集。歳時創作シリーズ 「季・憶 Ki-Oku」。第2弾は花村萬月「東風解凍(とうふうこおりをとく)」、村田沙耶香「土脉潤起(どみゃくうるおいおこる)」、津村節子「桃始笑(ももはじめてわらう)」


中篇100枚

青木淳悟「水戸黄門は見た」

いま再び始まる「水戸黄門」新章。史実とドラマの間を行き交いながら、新たなキャラクターとともに描きだされる、『大日本史』編纂の壮大な物語! 鬼才の想像力が爆発する中篇100枚 青木淳悟「水戸黄門は見た」


中篇100枚

四元康祐「奥の細道・前立腺」

手術したあとは、射精という現象がなくなるという──。戸惑いと焦燥、諦念と楽観。前立腺ガンの発見から入院前日まで、さまざまな思いが渦巻く日々を、詩とともに辿る漂泊の道行き。中篇100枚 四元康祐「奥の細道・前立腺」


野間文芸賞・野間文芸新人賞 受賞記念対談

髙村 薫×町田 康 今村夏子×小川洋子 高橋弘希×星野智幸

第70回野間文芸賞を受賞した髙村薫が、エンターテインメントから純文学へと移行し、「土の記」へと至るまでの創作哲学を、町田康との対話「ものおもう言葉たち」で明かす。

第39回野間文芸新人賞を受賞した今村夏子と高橋弘希。今村の子供の眼差しに根ざした小説の秘密を、「書くことがない、けれど書く」と題した対談で小川洋子が解き明かしていく。一方、高橋は希死念慮にとらわれた若者たちへの文学の役割について、対談「解放をもたらし得る小説」星野智幸と語り合う。


もくじ

〈新連載〉

レンマ学  中沢新一

〈歳時創作シリーズ 弐〉季・憶 Ki-Oku

東風解凍(とうふうこおりをとく)  花村萬月

土脉潤起(どみゃくうるおいおこる)  村田沙耶香

桃始笑(ももはじめてわらう)     津村節子

〈中篇100枚〉

水戸黄門は見た       青木淳悟

〈中篇100枚〉

奥の細道・前立腺      四元康祐

〈野間文芸賞・野間文芸新人賞 受賞記念対談〉

ものおもう言葉たち   髙村 薫×町田 康

書くことがない、けれど書く

           今村夏子×小川洋子

解放をもたらし得る小説

           高橋弘希×星野智幸

〈評論〉

イカロスの墜落──背景としての震災  千葉一幹

〈連載対談〉

今夜、笑いの数を数えましょう

 いとうせいこう  第3回 バカリズム

〈連作〉

野の末          古井由吉

〈連作評論〉

大拙〔7〕        安藤礼二

〈リレーエッセイ「私と大江健三郎」〉

「否定性」と「私ら」   平野啓一郎

〈連載小説〉

おおきな森〔2〕  古川日出男

人外(にんがい)〔4〕  松浦寿輝

二月のつぎに七月が〔10〕  堀江敏幸

山海記〔15〕  佐伯一麦

〈連載評論〉

出雲神話論〔5〕  三浦佑之

人間とは何か                   ──フランス文学による感情教育──〔7〕中条省平

たましいを旅するひと──河合隼雄〔12〕 若松英輔

〈世界史〉の哲学〔100〕  大澤真幸

現代短歌ノート〔93〕  穂村 弘

〈随筆〉

伊丹十三のこと  松家仁之

こんにちは、レオー  諏訪敦彦

寒夜粛粛  西村賢太

カフカの戦法  宇野邦一

「売れる本」体験記  中野 徹

時ならぬ事々──挿話  石井遊佳

ローズネットクッキーで寄り道の予感  山岡ミヤ

〈書評〉

一枚の「写真」のように              (『いのち』瀬戸内寂聴)  高橋源一郎

愛と残酷(『ドレス』藤野可織)  東 直子

目覚めよと呼ぶ声が聞こえ             (『意識のリボン』綿矢りさ)  清水良典

どこまで行っても明日がある            (『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子)佐藤康智

〈創作合評〉

藤沢 周×松永美穂×江南亜美子

「満潮」村田沙耶香(早稲田文学増刊女性号)

「無限の玄」古谷田奈月(早稲田文学増刊女性号)

「夭折の女子の顔」沼田真佑(すばる2018年1月号)