群像2017年12月号(11月7日発売)
定価(税込):980円
短篇 町田 康「とりあえずこのままいこう」 | |
死んでもなぜか意識が残っていて、私は家の人が嘆き悲しむ様子を、そのかたえに居て眺めていた――。犬だった私は猫に生まれ変わって元の家に戻る。忠実だった私は次第に気ままに振る舞いだし、家の人と新たな関係を結ぶのだが──。町田康の短編「とりあえずこのままいこう」 |
対談 磯﨑憲一郎×中島岳志「「与格」がもたらした小説」 | |
小説の「私」は、「言葉」は、どこからやってくるのか。小説はいかにして「作者」をも超えていくのか。小説『鳥獣戯画』をめぐり、書き手すら意図しなかった核心が対話によって明らかにされる。磯﨑憲一郎×中島岳志の対談「「与格」がもたらした小説」 |
対談 滝口悠生×堀江敏幸「「語り手」の声に耳をすまして」 | |
「書き手」でありながら「語り手」の声を聞く。そこにないものについて語るり、ないからこそ語りたくなる──。「魂の締め切り」に向けて書き続けられた新刊『高架線』が生まれたとき、滝口悠生がつかんだ創作の手がかり。二人の作家が対話を通して迫る小説が生まれる瞬間。滝口悠生×堀江敏幸対談「「語り手」の声に耳をすまして」 |
当選作「なぜシャーロック・ホームズは「永遠」なのか──コンテンツツーリズム論序説」石橋正孝 | |
第61回群像新人評論賞が、選考委員・大澤真幸、熊野純彦、鷲田清一によって決定しました。新しい評論賞が創設されてから、初めて当選作を選出! 受賞作は石橋正孝「なぜシャーロック・ホームズは「永遠」なのか──コンテンツスーリズム論序説」。シャーロッキアンにおける「ラインバッハの森」に代表される「聖地巡礼」の旅は何を意味するのか? 新しい才能の誕生をぜひご確認ください。 |
評論 宮澤隆義「必然性の転移──三島由紀夫と武田泰淳」 | |
いま批判的に問うべきなのは「歴史の必然性」ではなく「歴史の偶然性」にある――。「ビッグ・ヒストリー」ものの流行は何を意味するのか。二人の作家が書いた長編小説から「現実」を問う。第60回群像新人評論賞(優秀作)受賞第一作。宮澤隆義の評論「必然性の転移──三島由紀夫と武田泰淳」 |
〈短篇〉とりあえずこのままいこう 町田 康〈対談〉「与格」がもたらした小説磯﨑憲一郎×中島岳志〈対談〉「語り手」の声に耳をすまして 滝口悠生×堀江敏幸〈第61回群像新人評論賞発表〉〈当選作〉 なぜシャーロック・ホームズは「永遠」なのか──コンテンツツーリズム論序説 石橋正孝〈評論〉必然性の転移──三島由紀夫と武田泰淳宮澤隆義〈連作〉その日のうちに 古井由吉階段の途中で 黒井千次地上生活者 第六部 最後の試み李 恢成〈リレーエッセイ「私と大江健三郎」〉大江さんのこと 島田雅彦〈連載小説〉人外(にんがい)〔2〕 松浦寿輝 二月のつぎに七月が〔8〕 堀江敏幸 〈連載評論〉出雲神話論〔3〕 三浦佑之 人間とは何か ──フランス文学による感情教育──〔5〕中条省平 たましいを旅するひと──河合隼雄〔10〕 若松英輔 〈世界史〉の哲学〔98〕 大澤真幸 | 〈連載〉現代短歌ノート〔91〕 穂村 弘 〈随筆〉「ドン・キホーテ」の著者、林紓 ミカエル・ゴメズ・グタールト 田中未来 訳 昭和への郷愁 岡本和明 ドラマ気分 小佐野 彈 雨の行方 中野美月 ここではないどこか 玉城ティナ 〈私のベスト3〉三つの「漂流物」 小澤京子 こども時代の噓 小川 哲 〈書評〉ハシゴの上と下 (『新しい小説のために』佐々木 敦)阿部公彦 源氏物語現代語訳の系譜のなかで (『源氏物語 上』角田光代)高木和子 哲学による社会学への誘い (『憎悪と愛の哲学』大澤真幸)鈴木洋仁 地図が領土になるとき (『双子は驢馬に跨がって』金子 薫)野崎 歓 〈創作合評〉佐々木 敦+木村紅美+佐藤康智 「故郷」松波太郎(群像2017年11月号) 「流光」李 琴峰(群像2017年11月号) 「小説禁止令に賛同する」いとうせいこう (すばる2017年11月号) |