群像2017年8月号(7月7日発売)
定価(税込):980円
新連作 古井由吉「たなごころ」 | |
春の寒気に雑念は斜に跳ぶ。未ダ生ヲ知ラズ、焉ンゾ死ヲ知ラン。そこには「死んで在る」ということの、不可思議さが含まれているのではないか──。待望の古井由吉の新連作がスタート! 第1回は「たなごころ」 |
短篇 西村賢太「青痰麵」 | |
飯を食っている最中に何か不快な事態が出来すると、その途端に箸を止め、そのまま立ち上がるか、皿の上のものを破壊する挙に出てしまう。これが北町貫多の持って生まれた情けない癖。そう、「あの店」でもそうだった──。貫多と店主の二十数年にも及ぶ蟠りは、ある深夜、不穏な最高潮を迎えることに……。西村賢太の短篇「青痰麵」 |
中篇150枚 水原 涼「クイーンズ・ロード・フィールド」 | |
カルドニアンFCのユースチームにいたロベルト、足の不自由な妹・ジャスミンを抱えたモリー、バンド仲間のアシュリーと、そしてぼく・クレイグ。十三歳で出会ってから二十六年間、ぼくたち四人はいつも一緒だった。そして三十九歳になったぼくらは、再びクイーンズ・ロード・フィールドへ向かった──。大人になってしまった四人の、美しく、そして苦い青春の残像。水原涼の中篇150枚「クイーンズ・ロード・フィールド」 |
新連載評論 中条省平「人間とは何か──フランス文学による感情教育──」 | |
すべてはフランス文学が教えてくれた──。一個人の文学遍歴に関する極私的メモワールから、偏愛的かつ連続的作家論へ。フランス文学史の素描を重ねつつ、近代の人間精神の多様な運動の軌跡を描く新たな試み! 第1回は、中条少年の心をわしづかみにしてしまったマルキ・ド・サドの「悪」について。中条省平の新連載評論「人間とは何か──フランス文学による感情教育──」 |
新連続対談 いとうせいこう「今夜、笑いの数を数えましょう」 | |
いとうせいこうの新連載対談シリーズ「今夜、笑いの数を数えましょう」。笑いとは何か? をテーマに、毎回各界で活躍するゲストを招き、トークバトルを繰り広げる。第1回のゲストは放送作家の倉本美津留。お互いの笑いの体験遍歴を軸に、新たな「笑いの定義」の策定に挑む! |
〈新連作〉たなごころ 古井由吉〈短篇〉青痰麵 西村賢太〈中篇150枚〉クイーンズ・ロード・フィールド水原 涼〈新連載評論〉人間とは何か──フランス文学による感情教育──中条省平〈新連続対談〉今夜、笑いの数を数えましょういとうせいこう 第1回 倉本美津留〈連作〉地上生活者 第六部 最後の試み〔6〕李 恢成〈リレーエッセイ 私と大江健三郎〉新しい人よ眼ざめよ! 安藤礼二〈連載小説〉鳥獣戯画〔最終回〕 磯﨑憲一郎 二月のつぎに七月が〔4〕 堀江敏幸 地球にちりばめられて〔9〕 多和田葉子 九十九歳になった私〔11〕 橋本 治 山海記〔12〕 佐伯一麦 〈連載評論〉言語の政治学〔最終回〕 三浦雅士 たましいを旅するひと──河合隼雄〔7〕 若松英輔 〈世界史〉の哲学〔94〕 大澤真幸 | 〈連載〉現代短歌ノート〔87〕 穂村 弘 〈随筆〉死から見えてくる人生 小川隆夫 しょうが焼きの値段 岡田麿里 期待値のフラッピーバード 加藤秀行 恋地蔵 関取 花 〈私のベスト3〉たそがれ、郷愁、昭和飲み 満薗文博 停滞の理由、ベスト3。 杉作J太郎 ザ・ノンフィクションの闇 鮫肌文殊 〈書評〉「反芻」する「幸福」 (『カストロの尻』金井美恵子)野田康文 変わっていくことと家族 (『星の子』今村夏子)藤野可織 〈創作合評〉島田雅彦+阿部公彦+倉本さおり 「毛婚」栗田有起(群像2017年7月号) 「ナイス・エイジ」鴻池留衣(新潮2017年7月号) 「未熟な同感者」乗代雄介(群像2017年7月号) |