群像2017年2月号(1月7日発売)
定価(税込):980円
短篇 青山七恵「帰郷」 | |
仕事を辞め疎遠だった父母の家へ帰省したわたし。そのまま実家で暮らす淡い望みを胸に秘めていたが、そこは取り壊しが決まっていた。失意のわたしのもとに奇妙な隣人が訪ねてくる……。人生の分岐点にさしかかった女性の新たな出発。「帰郷」青山七恵 |
中篇140枚 水原 涼「蹴爪(ボラン)」 | |
悪魔から村を守るために作られることになった祠。闘鶏場の胴元・パウリーノがその責任者となった。その頃、近隣の村では、何者かによる殺人事件が頻発していた。村を覆う不穏な空気のなか、パウリーノの息子・ベニグノはただ、強くなりたいとだけ願っていた──。南洋の島の熱気とともにあふれ出す暴力の奔流。新鋭が挑む中篇140枚の飛翔作! 「蹴爪(ボラン)」水原 涼 |
デビュー小説 はあちゅう「世界が終わる前に」 | |
ハンサムでいつも美女たちに囲まれていた彼が、なぜか私に興味を持ちつきあうことに。そんな彼は時々奇妙な言葉をつぶやくのだった──「世界に悪いことが起こる」と……。留学先での不思議な出会いと別れを描く「世界が終わる前に」ほか「サンディエゴの38度線」「六本木のネバーランド」の3作を掲載。言葉の壁や距離を超え築かれた、彼と私の、言葉にできない繊細な関係を見つめる、気鋭のブロガー・はあちゅうのデビュー小説! |
短篇 青木淳悟「僕ボードレール」 | |
「──偽善の読者よ──僕の同類──僕の兄弟よ!」大学受験に失敗した粕谷時春のノートの冒頭に記された一篇の詩。それは思春期の挫折から彼を救い出す言葉なのか? 背徳の詩人・ボードレールの、まだ名声を得る前の若き日々を辿りながら、鬼才が描き出すある青春の肖像。「僕ボードレール」青木淳吾 |
新連載評論 若松英輔「たましいを旅するひと──河合隼雄」 | |
ユング心理学の第一人者・河合隼雄。彼がその出発点から重要視し、それ故に沈黙を守った「たましい」をめぐる思考の軌跡。気鋭の批評家が切り開く新たな河合隼雄論。新連載評論「たましいを旅するひと──河合隼雄」若松英輔 |
〈短篇〉帰郷 青山七恵〈中篇140枚〉蹴爪(ボラン) 水原 涼〈デビュー小説 3つの短篇〉世界が終わる前にサンディエゴの38度線 はあちゅう六本木のネバーランド〈新連載評論〉たましいを旅するひと──河合隼雄若松英輔〈評論〉不可視との遭遇 原爆をめぐる「儀式」 高原 到〈短篇〉僕ボードレール 青木淳悟〈連作〉ピエタとトランジ〈完全版〉〔4〕藤野可織〈連載〉地球にちりばめられて〔3〕 多和田葉子 九十八歳になった私〔5〕 橋本 治 山海記〔8〕 佐伯一麦 鳥獣戯画〔12〕 磯﨑憲一郎 〈連載評論〉言語の政治学〔7〕 三浦雅士 新・私小説論〔12〕 佐々木 敦 〈世界史〉の哲学〔89〕 大澤真幸 | 〈連載〉モンテーニュの書斎〔15〕 保苅瑞穂 現代短歌ノート〔81〕 穂村 弘 〈随筆〉「怖い人」府川充男さんのこと 鳥海 修 21世紀の巡礼または音楽のテロリズム? 岡田暁生 十五歳だった! 松居大悟 SMAPは転がるように生きていく 矢野利裕 〈私のベスト3〉残念な進化 今泉忠明 「コンピュータが小説を書く」小説 松原 仁 ANN DEMEULEMEESTERに魅かれて 佐藤天彦 〈書評〉加速器のなかの衝突(『土の記』髙村薫)三輪太郎 無数の「声」の物語(『平家物語』古川日出男訳)安藤礼二 願望と現実のせめぎ合う日常の切実さとあやうさ(『あひる』今村夏子)日和聡子 〈創作合評〉小池昌代+鴻巣友季子+武田将明 「もう生まれたくない」長嶋 有(群像2017年1月号) 「塔と重力」上田岳弘(新潮2017年1月号) |