群像2016年11月号(10月7日発売)
定価(税別):907円
気鋭による野心あふれる中篇 岡本 学「再起動」 | |
誰かの下で働くのなんてごめんだ。そう考えた「僕」は、友人のクォーターを誘って起業する。ITベンチャーの失敗を踏まえ、次に乗り出したのは宗教法人の設立だ。その名も「リブート教」。嫉妬や欲望といった人間の不要な感情を排除し、再起動することを目的とする。でたらめな教義のはずだった、あの時までは……。「再起動」、『架空列車』で群像新人文学賞を受賞した岡本学の野心作です。 |
ついに連作完結 町田 康「ホサナ」 | |
毒虫はびこる恐ろしい世界に来てしまった「私」は、命を救ってくれた男に依頼され、森の奥の犬の集落に向かう。その肉をバーベキューに使うためだ。絶対ごめんだがとにかく行くしかない。そこで「私」が出会ったのは……。町田康「ホサナ」、完結です。 |
新シリーズ開始 大澤真幸「〈世界史〉の哲学 近代篇」 | |
大澤真幸の好評連載「〈世界史〉の哲学」が新章・近代篇に突入! なぜ資本主義は、イスラーム教圏でも中華文明でもなく、西洋キリスト教圏で生まれ発達したのか? ついにその謎に迫ります。 |
対談 『オライオン飛行』刊行記念 髙樹のぶ子×佐藤 優 | |
日本人看護婦とフランス人飛行士の恋愛を描いた髙樹のぶ子の『オライオン飛行』。刊行を記念し、佐藤優と対談を行いました。史実を基にした本作に隠されたいくつもの物語とは。対談「小説における愛と冒険飛行」、必読です。 |
連作 藤野可織、黒井千次、李 快成 | |
藤野可織「ピエタとトランジ〈完全版〉」は第3回。雨の降る夜、”名探偵の助手”であり医学生のトランジは、女子寮の自分の部屋に友達の森ちゃんを匿う。森ちゃんは、「自分は殺される」と怯えていて……!? 父親が退院することが決まった。前向きなものか分からないその提案を受け止めた息子は、父親に尋ねられる。ところで、みつかったかね、あの分厚い報告書は――。黒井千次「小さな赤い薔薇」、過去に続く道が少しずつ見えてきます。 別居を始めて以来、愚哲は家族とうまくいかなくなっていた。特に、オートバイが好きで反抗的な次男とは対立してばかりで……。李恢成「地上生活者 第六部 最後の試み」、果たして趙家の運命は。 |
〈中篇180枚〉再起動 岡本 学〈連作完結230枚〉ホサナ 町田 康〈新シリーズ開始〉〈世界史〉の哲学 近代篇 大澤真幸〈対談〉小説における愛と冒険飛行 髙樹のぶ子×佐藤 優〈連作〉ピエタとトランジ〈完全版〉(3) 藤野可織小さな赤い薔薇 黒井千次地上生活者 第六部 最期の試み(4) 李 恢成〈追悼 田中弥生〉田中弥生さんを追悼する 安藤礼二〈連載〉コンテクスト・オブ・ザ・デッド 最終回 羽田圭介 山海記〔6〕 佐伯一麦 いのち〔7〕 瀬戸内寂聴 鳥獣戯画〔9〕 磯﨑憲一郎 〈連載評論〉美と倫理とのはざまで カントの世界像をめぐって 最終回 熊野純彦 言語の政治学〔4〕 三浦雅士 新・私小説論〔9〕 佐々木 敦 | 〈連載〉モンテーニュの書斎〔12〕 保苅瑞穂 現代短歌ノート〔78〕 穂村 弘 〈随筆〉本人を笑う 南 伸坊 キノコ兵器化計画の顛末 星野 保 リジェクション・スリップ 吉田恭子 月下美人 夜釣十六 〈私のベスト3〉カフェの名前 川口葉子 98歳になって思い出すこと 竹浪正造 今、会いたい“美しい”ひと たかまつなな 〈書評〉飛行機はどこを飛ぶのか(『オライオン飛行』髙樹のぶ子)高橋源一郎 「義経、マジで、そこにいた」(『ギケイキ 千年の流転』町田 康)戌井昭人 ブルックナーの音楽は彼らの生きづらさを肯定するか(『不機嫌な姫とブルックナー団』高原英理)矢野利裕 〈創作合評〉片岡義男+野崎 歓+石田 千 「カブールの園」宮内悠介(文学界2016年10月号) 『オライオン飛行』髙樹のぶ子(講談社) |