群像2016年8月号(7月7日発売)
定価(税別):907円
11人の作家が競演 アンソロジー「マイソング」 | |
青江三奈、PUFFY、ミスチル、中島みゆき、エトセトラ――。あの名曲を11人の作家が思い入れたっぷりに仕上げた、異色のポップソング小説集。アンソロジー「マイソング」、お楽しみ下さい。 |
横山悠太、高橋弘希、戌井昭人、李龍徳 | |
北京のとある大学に留学生としてやって来た亮太は、語学のクラスでイラン人のサジャダと出会う。二人のあいだには不思議な友情が芽生え……。『吾輩ハ猫ニナル』でデビューした横山悠太が、PUFFY「アジアの純真」をテーマに、切なくも若々しい一瞬を描きます。 琴音が水死体を見たのは、九歳の夏のことだった――。十二年後、人の死に触れた彼女はふとあの砂浜に立ち返り……。People In The Boxの「あなたのなかの忘れた海」を、高橋弘希が美しい一篇の物語に編み上げます。 劇作家としても活躍する戌井昭人が選んだのは、青江三奈の「恍惚のブルース」。自分を取り上げた産婦人科医と大人になってから不倫関係になってしまった「わたし」は、やがて……!? 怜子おばさんは、中島みゆきは怜子おばさんの人生をモデルにして曲を作っているのだ、と主張してはばからない。あの曲も、この曲も、私のことを歌っているのさ――。中島みゆき「怜子」、李龍徳が生き生きと描きます。 |
滝口悠生、吉村萬壱、青木淳悟、荻世いをら | |
向かいの御手洗家はどうやら厳しい家庭のようだ。大学生になったばかりの清楚で可愛らしい長女“れいこ”は、9時という門限を守って帰ってくる。定職にもつかず妻子もいない三十男の私は毎日それを見守っている。ぶん、と素振りをしながら――。滝口悠生が描くさまざまな形の恋。テーマ曲は、広末涼子「MajiでKoiする5秒前」です。 スナック「かもめ」の常連・北村さんは、酔うといつも「毒ガスが降ってくる」と語り出します。記憶を失くしたホステスの私は、それを聞き流すだけ、だったのですが……。吉村萬壱が“らしさ”全開で挑む一篇、ちあきなおみ「かもめの街」。 つましく暮らす若夫婦。だが、あるとき夫は気付いてしまった。妻が「OL日記」なる不可思議な書き物をしていることを……。Mr.Childrenの名曲「innocent world」を、青木淳悟が描きます。 荻世いをらが選んだのは、宇多田ヒカルの「In My Room」。リストラされそうな女性ボディビルダーは、この曲を聴き、まるで自分のことを歌っているようだ、と感じるが……。 |
いしいしんじ、荻野アンナ、片岡義男 | |
虹子のポケットには、見覚えのないものがときどき入っている。一本のエンピツ、色とりどりのゼムクリップ、そして……。坂本九の「エンピツが一本」を、いしいしんじが少し不思議な物語に仕上げました。 スナック『圭子の夢』の名物は、ものまねホステスたちによるショー。青江三奈を演じる私は、森進一のまねをする男が何故か気に掛かり……。荻野アンナが描く、女の悲しくも逞しいひととき。青江三奈「伊勢佐木町ブルース」。 「今年は私たちの結婚の年ね」。非の打ちどころのない恋人に言われ、まさにと納得する僕。彼女のために仕事も決めて、ふと入った喫茶店では、リリィの「私は泣いています」が流れていた……。片岡義男が寂しい歌詞からつかみあげた、美しい女性の姿とは。 |
『ビビビ・ビ・バップ』刊行記念対談 奥泉 光×大友良英 | |
近未来エンタテイメント小説『ビビビ・ビ・バップ』の刊行を記念し、奥泉光とミュージシャンの大友良英が対談を行いました。ジャズピアニストが主人公の本作には、素晴らしいジャズミュージシャンのアンドロイドが多数登場します。そんな「音楽小説」でもあるこの作品について、ほぼ同年代の二人が語り合うフリージャズの過去と未来とは!? 奥泉光×大友良英「偏愛JAZZ小説」。 |
〈マイソング〉アンソロジーアジアの純真 横山悠太あなたのなかの忘れた海 高橋弘希恍惚のブルース 戌井昭人怜子 李龍徳MajiでKoiする5秒前 滝口悠生かもめの街 吉村萬壱innocent world 青木淳悟In My Room 荻世いをらエンピツが一本 いしいしんじ伊勢佐木町ブルース 荻野アンナ私は泣いています 片岡義男〈対談 『ビビビ・ビ・バップ』刊行記念〉偏愛JAZZ小説 奥泉 光×大友良英〈連載〉九十八歳になった私〔2〕 橋本 治 山海記〔4〕 佐伯一麦 いのち〔5〕 瀬戸内寂聴 鳥獣戯画〔7〕 磯﨑憲一郎 コンテクスト・オブ・ザ・デッド〔7〕 羽田圭介 〈連載評論〉言語の政治学〔2〕 三浦雅士 美と倫理とのはざまで カントの世界像をめぐって〔10〕 熊野純彦 鬼子の歌 近現代日本音楽名作手帖〔28〕 片山杜秀 〈世界史〉の哲学〔84〕 大澤真幸 | 〈連載〉モンテーニュの書斎〔10〕 保苅瑞穂 現代短歌ノート〔76〕 穂村 弘 〈随筆〉四十七士と福沢諭吉 高島俊男 未来に希望はあるのか 西崎 憲 百発百中の男 鹿子裕文 〈私のベスト3〉おとぼけ絵画 金子信久 茅ヶ崎の音楽系文化人 宮治淳一 思い出のライヴ 西寺郷太 〈書評〉広がり続ける奥泉ワールド(『ビビビ・ビ・バップ』奥泉 光)諏訪部浩一 〈創作合評〉奥泉 光+大澤信亮+滝口悠生 「しんせかい」山下澄人(新潮2016年7月号) 「ミルキーウェイ」青山七恵(群像2016年7月号) 「司令官の最期」田中慎弥(すばる2016年7月号) |