群像2016年7月号(6月7日発売)
定価(税別):907円
心あたたまる中篇 青山七恵「ミルキーウェイ」 | |
離婚して別々に暮らしていた父親が再婚し、歳の離れた妹ができた。中学生で名前は由香。会うのは五年ぶりだというのに、瑛子は彼女に強く請われ、山の頂上までふたり星空を見るキャンプに向かうことに……。青山七恵「ミルキーウェイ」、人生の小さな分岐点を描く快作です。 |
新連載 新しい老人小説 橋本 治「九十八歳になった私」 | |
ボランティアのバーさんに「来年は白寿ですね」と言われた。「来年は白痴ですね」と聞こえた。百までなんて生きたかねーよ。九十八歳になった作家である主人公が、日々の移ろいをリアルな筆致で書き留める新しい「老人小説」。橋本治「九十八歳になった私」、連載開始です。 |
大好評短篇が連作で再登場! 藤野可織「ピエタとトランジ〈完全版〉」 | |
親友の名前はトランジで、私はピエタ。二人の周りでは事件が次々に起こって……。『おはなしして子ちゃん』に収録された大人気短篇が「完全版」として再登場! 奔放で奇想的な世界をポップな筆致で描く著者初の長篇小説、藤野可織「ピエタとトランジ〈完全版〉」。松本次郎のイラストにも注目です。 |
「孤独の発明」最終章スタート 三浦雅士「言語の政治学」 | |
水村実苗が『日本語が亡びるとき』で提唱した現地語、国語、普遍語という三つの概念。それを皮切りに言語はどのように発達してきたか思考する――。本格文芸評論「孤独の発明」最終章、三浦雅士「言語の政治学」、スタートです。 |
連作 黒井千次、町田 康、李 恢成 | |
黒井千次の連作は「コートとボール」。思想検事だった父について知るため、同じく検事を父親に持つ女性と語り合う主人公。謎は深まるばかりで……。 さすが恐るべき女! ヨーコは人々をうまく騙くらかして、危険な地上と地下のシェルターの間を取り持つ卑劣極まりない商売を成功させていた。それを知り怒りに震えた「私」は……。町田康「ホサナ」、ついにクライマックスです。 新しい雑誌を立ち上げようと動き出した愚哲たちだったが、さまざまな障害が起きて……。李恢成「地上生活者 第六部 最後の試み」、必読です。 |
〈中篇〉ミルキーウェイ 青山七恵〈新連載〉九十八歳になった私 橋本 治〈新連作〉ピエタとトランジ〈完全版〉 藤野可織〈新連載評論〉言語の政治学 三浦雅士〈連作〉コートとボール 黒井千次ホサナ〔16〕 町田 康地上生活者 第六部 最後の試み〔3〕 李 恢成〈連載〉山海記〔3〕 佐伯一麦 いのち〔4〕 瀬戸内寂聴 鳥獣戯画〔6〕 磯﨑憲一郎 コンテクスト・オブ・ザ・デッド〔6〕 羽田圭介 〈連載評論〉新・私小説論〔7〕 佐々木 敦 美と倫理とのはざまで カントの世界像をめぐって〔9〕 熊野純彦 〈世界史〉の哲学〔83〕 大澤真幸 | 〈連載〉モンテーニュの書斎〔9〕 保苅瑞穂 現代短歌ノート〔75〕 穂村 弘 〈随筆〉ミステリーの王国からの便り 島田荘司 谷崎潤一郎と岩野泡鳴――それぞれの大阪女性像―― 井上章一 「翻訳者の家」にて 松永美穂 ありふれた日常の驚くべき絶景 服部文祥 〈私のベスト3〉ウルトラマンシリーズの音楽 浅井和康 季節 鎌田順也 台湾人作家の謎 天野健太郎 〈書評〉いやます技術(テクネー)の祝祭(『求愛』瀬戸内寂聴)清水良典 伝達者は外へ外へ(『ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語』津島佑子)佐藤康智 〈創作合評〉吉村萬壱+苅部 直+福嶋亮大 「鏡」内村薫風(新潮2016年6月号) 「コンビニ人間」村田沙耶香(文學界2016年6月号) 「ジニのパズル」崔 実(群像2016年6月号) |