群像2015年12月号(11月7日発売)
定価(税別):907円
夫婦生活の繊細さを丹念に描く 諏訪哲史「ある平衡」 | |
結婚して二年の若い夫婦が互いを気遣うあまりおこしてしまう、いくつもの小さなすれ違い。それは少しずつ二人の均衡をすり減らしていき――。「ある平衡」、諏訪哲史が薄氷を踏むような夫婦の日々を丹念に描きます。 |
短篇 山田詠美「骨まで愛して・・みた」 | |
これが最後の恋と愛し尽くした女を病気で早くに亡くした茂生。これ以上愛する女性はもう現れない……と思いきや、あっという間に次の運命の相手と出会ってしまう。しまった、こっそり持ち続けていた元カノの遺骨をなんとか処分しなくては! 女の愛はどこまで欲深いのか。爆笑必至の短篇、山田詠美「骨まで愛して・・みた」。 |
短篇 乙川優三郎「ジョジョは二十九歳」 | |
ダンサーのジョジョは一家の大黒柱。フィリピン国内だけでなく、年に数回日本でも興行を行って、家族を食べさせる毎日。目標の貯金額まであと一歩というところで、その“悪魔”はやってきた――。乙川優三郎「ジョジョは二十九歳」、切なくも美しい短篇です。 |
連作評論(4) 武田将明「『トリストラム・シャンディ』と留保される名前」 | |
武田将明の連作評論「小説の機能」、第四回ではローレンス・スターンがものした未完の大作『トリストラム・シャンディ』を取り上げます。さまざまな仕掛けの施された“奇書”である本作。その著者は負けず劣らずの変わり者で――!? 「ロビンソン・クルーソー」「ガリヴァー旅行記」「パメラ」とは異なる不可思議な主人公と作者の在り方とは? |
対談 古井由吉×又吉直樹 対談 島田雅彦×白井 聡 | |
『雨の裾』の刊行を記念し行われた、古井由吉と又吉直樹のト-クイベントを掲載。二人が小説を書くときに感じる「自分の中にいる過去の自分たち」とは? 又吉直樹が思わず口にした「古井さん、芸人しかわからないようなことがわかるんですね」という言葉の真意は? 対談「小説も舞台も、破綻があるから面白い」、必読です。 島田雅彦と白井聡が新刊『虚人の星』をきっかけに、この国の現在と未来を語り合う対談、「国家の自殺をくいとめられるか」。「プロレス政治」ゆえに見られた自立性はどこに消えたのか? 安倍政権に漂う人格解離性とは? |
〈短篇〉ある平衡 諏訪哲史骨まで愛して・・みた 山田詠美ジョジョは二十九歳 乙川優三郎〈対談〉小説も舞台も、破綻があるから面白い 古井由吉×又吉直樹国家の自殺をくい止められるか 島田雅彦×白井 聡〈連作〉なぜなの、あたしのかみさま 川上弘美静寂(完結) 島本理生〈連作評論〉〔4〕『トリストラム・シャンディ』と留保される名前 武田将明〈連載小説〉ビビビ・ビ・バップ 最終回 奥泉 光 尻尾と心臓 最終回 伊井直行 オライオン飛行〔10〕 髙樹のぶ子 〈連作評論〉美と倫理とのはざまで カントの世界像をめぐって〔2〕 熊野純彦 新・私小説論〔3〕 佐々木 敦 鬼子の歌 近現代日本音楽名作手帖〔22〕 片山杜秀 〈世界史〉の哲学〔77〕 大澤真幸 〈連載〉モンテーニュの書斎〔3〕 保苅瑞穂 現代短歌ノート〔68〕 穂村 弘 | 〈随筆〉監視社会を生きる 斎藤貴男 ドイツで劇場の未来形を夢想した 高山 明 女傑とキューピー 栩木玲子 デモは卑怯だ――みずからのスマートさを放棄しよう 栗原 康 〈私のベスト3〉三島由紀夫ゆかりの花 三輪太郎 『変なおじさん』のガラスはなぜ割れる? せきしろ 好きな鉱物 宮原ひろ子 〈書評〉クローゼットの向こうには(『ウォーク・イン・クローゼット』綿矢りさ)小林エリカ 『インランド・エンパイア』をこえて(『遠い触覚』保坂和志)佐藤康智 万物に隠された詩情(『空にみずうみ』佐伯一麦)若松英輔 自分を超える自伝の試み(『何が? 永遠が』マルグリット・ユルスナール著、堀江敏幸訳)中条省平 個人の個人による個人のための(『職業としての小説家』村上春樹)乗代雄介 〈創作合評〉春日武彦+清水良典+沼野充義 「異類婚姻譚」本谷有希子(群像2015年11月号) 「手のひらの海」朝比奈あすか(文學界2015年11月号) 「前世は兎」吉村萬壱(すばる2015年11月号) |