群像2015年11月号(10月7日発売)
定価(税別):907円
「夫婦」への異和を描く中篇 本谷有希子「異類婚姻譚」 | |
ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた――。他人同士が身内になる「夫婦」という不思議な形式。その異和を軽妙洒脱に描いた本谷有希子の挑戦作「異類婚姻譚」。三島由紀夫賞を受賞した『自分を好きになる方法』以来2年ぶりの力作がついに登場です。 |
新連載評論 熊野純彦「美と倫理とのはざまで」 | |
哲学を読むことは一種の快楽である――。レヴィナス研究者として知られ、ハイデガーやベルクソンの訳書でも名を馳せる鬼才・熊野純彦が、回避し迂回するカントの思考を読みぬく連載評論「美と倫理とのはざまで カントの世界像をめぐって」、スタートです。 |
鼎談 島田雅彦×片山杜秀×中島岳志 「安倍総理に捧げる小説」 | |
二重スパイとお飾り首相を主人公に据え、現代日本の危機的状況を鋭く描いた島田雅彦の超ド級の問題作『虚人の星』。その刊行を記念し、片山杜秀、中島岳志という二人の政治学者との鼎談を行いました。日本がのび太ならアメリカはジャイアンでなくドラえもん? 正統な保守とは果たしてどのような存在なのか? 「安倍総理に捧げる小説」、いま読んで欲しい必読の鼎談です。 |
清水良典「デビュー小説論」は町田康『くっすん大黒』 | |
パンク歌手、詩人、俳優としてすでに知られていた町田康のデビュー作「くっすん大黒」。ナンセンスなボヤキと駄洒落が連発するこの作品を、当時の文芸界はどうとらえたのか? 清水良典の連作評論「デビュー小説論」、最終回は「はにかみパンク外道の生真面目――町田康『くっすん大黒』」です。 |
群像新人評論賞決定! 優秀作に荒木優太、高原到 | |
大澤真幸、熊野純彦、鷲田清一を新たに選考委員に迎え、群像新人文学賞評論部門から独立した「群像新人評論賞」。当選作は出ませんでしたが、優秀作2作が選ばれました。荒木優太「反偶然の共生空間――愛と正義のジョン・ロールズ」、高原到「ケセルの想像力」。新しい才能の誕生を、ぜひご確認ください。 |
〈中篇140枚〉異類婚姻譚 本谷有希子〈新連載評論〉美と倫理とのはざまで カントの世界像をめぐって 熊野純彦〈第59回群像新人評論賞発表〉〈優秀作〉 反偶然の共生空間――愛と正義のジョン・ロールズ 荒木優太ケセルの想像力 高原 到受賞のことば 選評 大澤真幸 熊野純彦 鷲田清一 予選通過作品発表 〈鼎談〉安倍総理に捧げる小説 島田雅彦×片山杜秀×中島岳志〈連作評論〉〔最終回〕はにかみパンク外道の生真面目――町田 康『くっすん大黒』 清水良典〈連載小説〉我々の恋愛 最終回 いとうせいこう オライオン飛行〔9〕 髙樹のぶ子 尻尾と心臓〔16〕 伊井直行 ビビビ・ビ・バップ〔23〕 奥泉 光 〈連作小説〉ホサナ〔12〕 町田 康 運命 川上弘美 | 〈連作批評〉新・私小説論〔2〕 佐々木 敦 〈連載〉モンテーニュの書斎〔2〕 保苅瑞穂 現代短歌ノート〔67〕 穂村 弘 〈随筆〉『ルンタ』への長い旅 池谷 薫 やなせたかし先生の「秘密の恋」 小手鞠るい 膨らむ、伸びる、中世の夢 橘 明美 〈私のベスト3〉およそ4×10n年の脳内逆変換 加藤総夫 サメと歩む人生 西田清徳 お手紙拝見 乗代雄介 〈書評〉人間の複合アイデンティティーを描いた傑作(『虚人の星』島田雅彦)佐藤 優 姉と弟の神話(『Yの木』辻原 登)三浦雅士 思わず眼鏡をかけ直す(『繭』青山七恵)阿部公彦 クズ湯に肩までつかって(『呪文』星野智幸)酉島伝法 〈創作合評〉春日武彦+清水良典+沼野充義 「モナドの領域」筒井康隆(新潮2015年10月号) 「幼なじみ」谷崎由依(群像2015年10月号) 「まるで砂糖菓子」乙川優三郎(群像2015年10月号) |