群像2015年10月号(9月7日発売)
定価(税別):907円
短篇 乙川優三郎「まるで砂糖菓子」 中篇 谷崎由依「幼なじみ」 | |
五十歳を前に勤めを辞め、高原の暮らしを選んだ奈緒子。彼女のもとには、都会からときどき男が通ってくる。そんな中、生活の足しになればと働き始めたケ-キショップで、奈緒子は男やもめの店主と出会う――。乙川優三郎「まるで砂糖菓子」、人生のささやかな収穫と苦みを端正につづった一篇です。 郵便受けに鴉の死骸が投げ込まれたとき、現れたのは幼虫とあだ名された幼なじみだった――。「幼なじみ」、気鋭・谷崎由依が、いびつな関係性を生々しく描いた中篇です。 |
新連載 保苅瑞穂「モンテーニュの書斎」 新連作 李 恢成「地上生活者 第六部」 | |
名文家として知られる仏文学者・保苅瑞穂が、豊穣な言葉でモンテーニュの『エセー』を新たに語ります。新連載「モンテーニュの書斎」、必読です。 2014年6月号で完結した李恢成「地上生活者 第五部 邂逅と思索」。続篇「地上生活者 第六部 最後の挑戦」がついにスタート! 連作第一回となる今回は、朝鮮半島の近代化はあったのか、富岡製糸場を訪れた愚哲が思考します。 |
特集「個人的な詩集」 吉増剛造、山田詠美、島田雅彦、長野まゆみ | |
四人の編者がそれぞれ独自のテーマに沿って、数篇の詩を選び作り上げるアンソロジー「個人的な詩集」。吉増剛造「獣語」、山田詠美「性的ヒーリングワーズ」、島田雅彦「都市生活者には牧歌が足りない」、長野まゆみ「あの時代、港で」。編者の解説とともに、古今東西の名詩をお楽しみください。 |
『琥珀のまたたき』刊行記念対談 小川洋子×小野正嗣 | |
家から出ることを禁じられたオパール、琥珀、瑪瑙の三きょうだいの愛しくも切ない物語『琥珀のまたたき』。その刊行を記念して著者の小川洋子と小野正嗣が対談しました。小野正嗣が指摘する小川文学の“閉じられた世界の無限性”とは? 対談「〈無言〉を描く文学」、単行本『琥珀のまたたき』と共にお楽しみください。 |
連作短篇 黒井千次 川上弘美 連作批評 佐々木 敦 | |
ついに、思想検事であった父が書いた報告書を発見した息子。研究書とも懺悔録ともとれるそれを読み終えた彼は、新聞の催事案内にあった「発禁本」という暗い影のある言葉に目を留める。黒井千次の連作第6回は、「厚い報告書」。 川上弘美の連作第14回は「運命」。この不思議な世界は、人類が何をした結果なのか。「あなたたち」に「わたし」が語ります。 佐々木敦の連作批評「新しい小説のために」が、「新・私小説論」とタイトルを変えて再開! 第1回では「移人称」を中心に「語ること」を探ります。 |
〈短篇〉まるで砂糖菓子 乙川優三郎〈中篇160枚〉幼なじみ 谷崎由依〈新連載〉モンテーニュの書斎 保苅瑞穂〈新連作〉地上生活者 第六部 最後の試み 李 恢成〈特集 個人的な詩集〉獣語 吉増剛造性的ヒーリングワーズ 山田詠美都市生活者には牧歌が足りない 島田雅彦あの時代、港で 長野まゆみ〈対談〉〈無言〉を描く文学 小川洋子×小野正嗣〈連作〉厚い報告書 黒井千次運命 川上弘美〈連作批評〉新・私小説論 佐々木 敦〈連載小説〉オライオン飛行〔8〕 髙樹のぶ子 我々の恋愛〔11〕 いとうせいこう 尻尾と心臓〔15〕 伊井直行 ビビビ・ビ・バップ〔22〕 奥泉 光 〈連載評論〉鬼子の歌 近現代日本音楽名作手帖〔21〕 片山杜秀 〈世界史〉の哲学〔76〕 大澤真幸 | 〈連載〉現代短歌ノート〔66〕 穂村 弘 〈随筆〉阿川弘之が亡くなった 三浦朱門 ジェラニウムの微かに淫靡な匂い 工藤庸子 海と、海という言葉と、鳥 牧田真有子 方言という異質 阿部貴人 巫女と乞食 寺尾紗穂 〈私のベスト3〉日本語と温泉 リービ英雄 鉄道と映画と音楽と 川本三郎 忘れえぬ罵倒 伊藤朱里 〈書評〉琥珀――記憶を閉じ込める石(『琥珀のまたたき』小川洋子)松永美穂 低いけれどよく通る声(『わたしの木下杢太郎』岩阪恵子)関川夏央 生身の小説家が体現する民族と歴史(『地上生活者 第5部 邂逅と思索』李 恢成)富岡幸一郎 妄想の抗争(『スクラップ・アンド・ビルド』羽田圭介)陣野俊史 鳥目ちゃうねん、鳥の目やねん(『鳥の会議』山下澄人)矢野利裕 〈創作合評〉中条省平+野崎 歓+大澤 聡 「憂国者たち」三輪太郎(群像2015年9月号) 「八月の息子」木村紅美(文學界2015年9月号) 「苺ジャムから苺をひけば」川上未映子(新潮2015年9月号) |