群像2015年6月号(5月7日発売)
定価(税別):907円
群像新人文学賞発表! 乗代雄介「十七八より」 | |
第58回群像新人文学賞決定! 豊穣な言葉で紡ぐ「あの少女」への無償の愛――。「凝りに凝った文体」「捨ておけない才気」「小説にしかできないやり方で現実と格闘している」と賞賛を呼んだ、ペダンティックな趣向に満ちたデビュー作、乗代雄介「十七八より」。新しい才能の誕生をぜひご確認ください。
|
少しずつ謎はほどかれる 連作 川上弘美「奇跡」 | |
初めての予言は三歳のときだった。不思議な力を持った少女アーイシャと暮らす「見守り」のマリア。アーイシャの力は年々増していき、ついには触れただけで人を癒せるように。彼女の「奇跡」を会議で報告するマリアだったが、場はどうにも妙な雰囲気で……。川上弘美の連作第10回、「奇跡」(前篇)。完璧な世界が少しずつほどけていく。 |
作家を主人公とする連作第5回 片岡義男「どこから来て、どこへ」 | |
作家を主人公とした片岡義男の連作、第5回は「どこから来て、どこへ」。作家の北尾裕之は、久しぶりに再会した同窓生の根岸忠幸と、焼き鳥の屋台に向かう。そこには正ちゃん帽をかむった、朗らかな初老の男性がいて……。男性三人のやりとりは、軽快で愛に満ちています。 |
連載 堂々の完結 沼野充義「チェーホフとロシアの世紀末」 | |
44歳という若さで結核によってこの世を去ったチェーホフ。医師でありながら、「自分は結核ではない」「たいした症状ではない」と言い続けたその理由とは? 沼野充義によるロシア文学論「チェーホフとロシアの世紀末」、堂々の完結です。 |
『〈世界史〉の哲学 イスラーム篇』刊行記念対談 大澤真幸×酒井啓子「イスラームの不思議」 | |
イスラームという世界宗教を生み出し、ある時期まで明らかに先進国だった中東地域。そこで資本主義が発展しなかったのは一体なぜなのか? 『〈中東〉の考え方』の酒井啓子と『〈世界史〉の哲学 イスラーム篇』を刊行したばかりの大澤真幸が、解明します。対談「イスラームの不思議」、必読です! |
〈第58回群像新人文学賞発表〉〈当選作〉 十七八より 乗代雄介受賞のことば 選評 青山七恵 高橋源一郎 多和田葉子 辻原 登 野崎 歓 〈連作〉(前篇)奇跡 川上弘美〈連作短篇〉どこから来て、どこへ 片岡義男〈連載小説〉オライオン飛行〔4〕 髙樹のぶ子 我々の恋愛〔7〕 いとうせいこう 尻尾と心臓〔11〕 伊井直行 虚人の星〔12〕 島田雅彦 ビビビ・ビ・バップ〔18〕 奥泉 光 〈連載評論〉チェーホフとロシアの世紀末 最終回 沼野充義 鬼子の歌 近現代日本音楽名作手帖〔17〕 片山杜秀 〈世界史〉の哲学〔72〕 大澤真幸 〈連載〉現代短歌ノート〔63〕 穂村 弘 | 〈随筆〉『コルバトントリ、』という演劇 山下澄人 林黛玉という少女 井波陵一 巨匠のように 山田広昭 ハインリッヒの法則 清水保俊 〈私のベスト3〉ウズベキスタンの三不思議 沼野恭子 ギャングスタ、ギャングスタ 波多野 陸 〈書評〉「近代化」を拒むイスラーム(『<世界史>の哲学 イスラーム篇』大澤真幸)浜崎洋介 斜め上の、ささやかな「救い」(『かわいい結婚』山内マリコ)春日武彦 小説というカラクリを解く(『浪華古本屋騒動記』堂垣園江)安藤礼二 天皇不在の小説として(『宰相A』田中慎弥)矢野利裕 〈創作合評〉鴻巣友季子+佐々木 敦+青木淳悟 「キッズ・ファイヤー・ドットコム」海猫沢めろん(群像2015年5月号) 「呪文」星野智幸(文藝2015年夏季号) 「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」滝口悠生(新潮2015年5月号) |