群像2015年1月号(12月6日発売)
定価(税別):907円
三きょうだいを描く新連載 小川洋子「琥珀のまたたき」 | |
「今日を限り、前の名前は忘れましょうね」。母親からそう指示された三人は『こども理科図鑑』の中から新しい名前を選ぶことに。バレエが得意な姉は”オパール”、自分で歌を作るのが好きな弟は”瑪瑙”、そして不思議な左目を手に入れた彼は”琥珀”になった――。小川洋子「琥珀のまたたき」、家から出ることを禁じられた三きょうだいの、切なくも愛しい物語が始まります。 |
新年短篇特集 山田詠美、保坂和志、松浦寿輝、古井由吉、川上弘美、岸本佐知子 | |
豪華作家陣による短篇特集を掲載! 私は神なのです。それも、教祖と信者を兼任する超カルト教「みこちゃん教」を総括する、いまだかつてない存在なのだ! 山田詠美「自分教」、美子ちゃんの特殊能力とは果たして。 私がまだカルチャーセンターで働いていたころ、先生はふと純愛の話をされた――。託されたという感覚をめぐる短篇、保坂和志の「夏、訃報、純愛」。 松浦寿輝の「石蹴り」は小学六年の夏休み、山梨の親戚の家に預けられていたときの夢うつつの思い出を振り返ります。またいとこの姉妹と、夜に石蹴りをしたあの記憶は果たしてほんものなのだろうか。 古井由吉の連作第7回は「虫の音寒き」。蟋蟀の鳴く声を耳にしながら、過去と今、生と死に思いを馳せます。 いくつかのカタストロフの後、人口数は臨界点を下まわりはじめていた。世界がいまの形になったのは、人類が生き残るためだ――。川上弘美「リメンバ-」、二人の”見守り”とともに物語の謎が明かされていきます。 岸本佐知子が訳すのは、怒涛の人生を生きぬいた女性ルシア・ベルリンの「火事」。私は癌になった妹のもとに向かう。メキシコシティまで、飛行機で、彼女のための美しいカツラを持って。ところが到着したその瞬間……!? |
野間文芸賞・新人賞発表! 笙野頼子、松波太郎が登場 | |
『未闘病記――膠原病、「混合性結合組織病」の』で第67回野間文芸賞を受賞した笙野頼子が、清水良典を聞き手に迎え、自身の作品をつらぬいてきた「生きづらさ」を振り返ります。対談「メイキング・オブ・笙野頼子」。 第37回野間文芸新人賞を受賞したのは、松波太郎の『LIFE』。対談「身体リズムが生み出すユーモア」では、「どの作品も出し惜しみせず力を尽くしている」と絶賛する選考委員の松浦理英子と、独特の会話のセンスやユーモアについて語り合います。 |
清水良典「デビュー小説論」 堂垣園江「浪華古本屋騒動記」 | |
清水良典「デビュー小説論」、第5回は野間文芸賞を受賞したばかりの笙野頼子「極楽」を取り上げます。選考委員の藤枝静男が、まさか著者が二十歳代とは、と驚愕したという本作の得意な魅力に迫ります。 狙うは太閤・秀吉のお宝!? 堂垣園江「浪華古本屋騒動記」後篇、必読です。 |
『献灯使』刊行記念対談 多和田葉子×ロバート キャンベル | |
現代日本の問題を鋭くえぐる多和田葉子の新作『献灯使』。その刊行を記念し行われたロバート キャンベルとの対談を収録。『献灯使』が描く問題、言葉遊びの力、そして書くこと・読むことで明るくなれればという願い……本作への思いをたっぷり語り合います。 |
〈新連載〉琥珀のまたたき 小川洋子〈新年短篇特集〉自分教 山田詠美夏、訃報、純愛 保坂和志石蹴り 松浦寿輝虫の音寒き 古井由吉リメンバー 川上弘美〈翻訳短篇〉火事 ルシアン・ベルリン 岸本佐知子・訳〈対談〉やがて“希望”は戻る――旅立つ『献灯使』たち 多和田葉子×ロバート キャンベル〈野間文芸賞・野間文芸新人賞発表〉第67回野間文芸賞受賞作「未闘病記――膠原病、「混合性結合組織病」の」 笙野頼子受賞の言葉/選評(奥泉 光 佐伯一麦 坂上 弘 高橋源一郎 多和田葉子 津島佑子 町田 康) 第37回野間文芸新人賞受賞作「LIFE」 松波太郎受賞の言葉/選評(小川洋子 島田雅彦 保坂和志 星野智幸 松浦理英子) 〈記念対談〉メイキング・オブ・笙野頼子 笙野頼子 聞き手・清水良典身体リズムが生み出すユ-モア 松浦理英子×松波太郎〈連作評論〉〔5〕地獄絵のマニフェスト――笙野頼子『極楽』 清水良典〈創作〉浪華古本屋騒動記 後篇 堂垣園江 | 〈連載小説〉我々の恋愛〔2〕 いとうせいこう 尻尾と心臓〔7〕 伊井直行 虚人の星〔7〕 島田雅彦 ビビビ・ビ・バップ〔13〕 奥泉 光 〈連載評論〉チェーホフとロシアの世紀末〔9〕 沼野充義 鬼子の歌 近現代日本音楽名作手帖〔13〕 片山杜秀 〈世界史〉の哲学〔68〕 大澤真幸 〈連載〉現代短歌ノート〔58〕 穂村 弘 〈随筆〉つらいのに 角田光代 哄笑するカント 熊野純彦 禁則が生み出した世界 若島 正 まだ見ぬオ-ケストラ―男木島紀行― 大友良英 〈私のベスト3〉木ばっかり 村田喜代子 植物になって細かく枝分かれしてみたい 星野智幸 最近読んだ古典の新訳 小野正嗣 〈書評〉言霊の匂うがごとき色香(『少女霊異記』髙樹のぶ子)富岡幸一郎 幽霊の気分で(『朝露通信』保坂和志)矢野利裕 〈創作合評〉松浦寿輝+蜂飼 耳+宮下 遼 「影媛」高尾長良(新潮2014年12月号) 「冥途あり」長野まゆみ(群像2014年12月号) 「蜥蜴」谷崎由依(新潮2014年12月号) |