群像2010年10月号

文学の悪を語り尽くす!
亀山郁夫×中村文則

初の長篇小説『悪と仮面のルール』を書き下ろした中村文則と、ロシア文学者・亀山郁夫の対話が実現! 多くのドストエフスキー作品を手がけた翻訳家が、中村作品に隠されたドストエフスキーへの目配せを解き明かします。綿々と受け継がれてきた、文学における悪の系譜とは!?


霧たちこめる夢幻の短篇

古井由吉「蜩(ひぐらし)の声」

夢と現をたゆたう、古井由吉の待望の連作短篇が登場。霧に覆われた世界から立ち上がる幼年の記憶――。


創作は木村紅美、川崎徹、高原英理


寂聴まんだら対談 ゲストは柳美里

今回、瀬戸内寂聴がゲストに迎えるのは、衝撃作『ファミリー・シークレット』を発表したばかりの柳美里。愛し、憎み、書き続けてきた壮絶な道程について、赤裸々に語り合います。


「GRANTA」企画第2弾

アメリカの新鋭を紹介!

世界文学の最前線を担う文芸誌「GRANTA」との大型コラボレーション企画が登場! 第2弾はクレア・ワトキンズ「無駄のきわみ」です。24歳の新鋭が描くアメリカ文学の現在を体感して下さい。


もくじ

〈創作〉

蜩(ひぐらし)の声  古井由吉
野いちごを煮る  木村紅美
会話のつづき―ロックンローラーへの弔辞―  川崎 徹
遍歩する二人  高原英理


〈対談〉

「悪」とドストエフスキー  亀山郁夫×中村文則

〈寂聴まんだら対談〔6〕〉

愛し、憎み、書く  瀬戸内寂聴×柳 美里

〈「GRANTA」「群像」共同企画〉

無駄のきわみ  クレア・ワトキンズ 畔柳和代訳

〈連載小説〉

昼田とハッコウ〔8〕  山崎ナオコーラ

わたしの彼氏〔10〕  青山七恵

裂〔11〕  花村萬月

未明の闘争〔12〕  保坂和志

地上生活者 第四部〔24〕  李恢成

〈連載評論〉

孤独の発明〔10〕  三浦雅士

村上春樹の短編を英語で読む〔14〕  加藤典洋

〈世界史〉の哲学〔20〕  大澤真幸

東と西――横光利一の旅愁〔27〕  関川夏央

〈連載〉

会社員小説をめぐって〔4〕  伊井直行

現代短歌ノート〔7〕  穂村 弘

「生」の日ばかり〔19〕  秋山 駿

映画時評〔22〕  蓮實重彦

〈随筆〉

本はみるものである  坪内祐三

新作予定おんたこ今後猫未来未定  笙野頼子

「砂漠に咲く花」のようなポルトガル映画  古賀 太

ロデオボーイの憂鬱  鏡 征爾

〈私のベスト3〉

ありえない日本正教会の習慣  鹿島田真希

この世からなくなってほしいもの  諏訪哲史

シンガポールの日本人  原田ひ香

〈書評〉

世界の片隅の爪切りの音(『原稿零枚日記』小川洋子)  吉田篤弘

喪うことの豊饒(『おふくろの夜回り』三浦哲郎)  佐伯一麦

時代のふるまい(『リア家の人々』橋本 治)  永岡杜人

孤独の先にあるもの(『ひそやかな花園』角田光代)  栗田有起

愛に満ちた解読の奥義(『「純粋理性批判」を噛み砕く』中島義道)  池田清彦

〈創作合評〉

富岡幸一郎+鴻巣友季子+円城 塔

「きことわ」朝吹真理子(新潮2010年9月号)

「ほにゃららサラダ」舞城王太郎(群像2010年9月号)

「蠼のすえ」佐藤友哉(群像2010年9月号)