群像2011年10月号(9月7日発売)
定価(税込):920円
280枚一挙掲載 石田 千「きなりの雲」 | |
失った恋の痛み。ほどけてしまった彼女の心が、きなりの手触りの日々のなかで、ゆっくりとふっくらと編み直されてゆく。「あめりかむら」が第145回芥川賞候補作になり、いま最注目の著者、石田 千の最新長篇です。 |
野間新人賞作家の珠玉の短篇 柴崎友香「ここで、ここで」 | |
大阪の街が一望できる橋の真ん中で、わたしは動けなくなった。ふとした瞬間に蘇る、身体の奥底の傷跡。かつて、この場所で、その記憶は刻まれた。柴崎友香による珠玉の短篇です。 |
間取りから思い出す最古の記憶 川崎 徹「最後に誉めるもの」 | |
最古の記憶を探る授業で、女子学生が黒板に書き始めた家の間取り図。わたしにもまた、失われた生家の記憶があった。幸せを象徴する“いただき物の家”でのできごとを描く、川崎 徹の中篇をお楽しみ下さい。 |
群像65周年特別寄稿 「群像と私」 | |
1946年に創刊された「群像」は、おかげさまで今号で65周年を迎えました。本誌と縁が深く、最先端で活躍し続ける 大江健三郎、柄谷行人、津島佑子、多和田葉子、阿部和重の5氏によるエッセイから、「群像」の65年間が浮かび上がります。 |
話題の書を巡る刺激的対話 大澤真幸×保坂和志 | |
原発問題の根源はキリスト教にあった――。小説的思考を破綻させ、未来の他者を考える革命的対話が実現しました。本誌で「〈世界史〉の哲学」を連載中の大澤真幸と、「未明の闘争」を連載中の保坂和志による、刺激的な対談です。 |
〈創作〉きなりの雲 石田 千ここで、ここで 柴崎友香最後に誉めるもの 川崎 徹〈対談〉3・11と『〈世界史〉の哲学』 大澤真幸×保坂和志〈65周年特別寄稿「群像と私」〉小説の教育 大江健三郎「群像」と私 柄谷行人『草の臥所』と『光の領分』のころ 津島佑子文芸誌の不思議 多和田葉子Are You Lonesome Tonight? 阿部和重〈連載小説〉夜は終わらない〔2〕 星野智幸 雲をつかむ話〔9〕 多和田葉子 燃える家〔12〕 田中慎弥 昼田とハッコウ〔20〕 山崎ナオコーラ 未明の闘争〔24〕 保坂和志 〈連載評論〉安部公房を読む〔10〕 苅部 直 〈連載〉会社員小説をめぐって〔16〕 伊井直行 現代短歌ノート〔19〕 穂村 弘 「生」の日ばかり〔31〕 秋山 駿 映画時評〔34〕 蓮實重彦 | 〈随筆〉翻訳と創作 リービ英雄 生きてくれ猫 西 加奈子 朗読少女 文月悠光 名前の不在 菅谷憲興 〈私のベスト3〉面倒くさいけれど面白いこと 松浦弥太郎 野良猫の生活ぶり 丹下健太 なんとなく、まちがえる 飯塚数人 〈書評〉ひたむきな夫婦物語(『紅梅』津村節子) 古屋健三 窓の外からずっと(『地上生活者 第4部 痛苦の感銘』李恢成) 永岡杜人 その孤独をわれわれは……(『マザーズ』金原ひとみ) 藤沢 周 地質学のようにみごとな短編小説の編年記(『村上春樹の短編を英語で読む 1979~2011』加藤典洋) 橋爪大三郎 〈創作合評〉沼野充義+陣野俊史+中島京子 「すべて真夜中の恋人たち」川上未映子(群像2011年9月号) 「来たれ、野球部」鹿島田真希(群像2011年8、9月号) |