群像2011年8月号

鹿島田真希の新境地

「来たれ、野球部」前編160枚

喜多義孝は野球部のエースで新入生総代、そして幼なじみの宮村奈緒に恋してる。奈緒を独占したい喜多の欲望は、やがて同級生や教師たちを巻き込み始める。鹿島田真希の新境地となる問題作。


一挙掲載450枚!

「塔の中の女」間宮緑

姉の計画を遂行するため、青年は公爵が治める城下町に潜入する――新しい才能の目覚め! 新鋭・間宮 緑が圧倒的想像力で描く現代の叙事詩。


連作短編完結

古井由吉「子供の行方」

東北の大震災から呼び起こされた、66年前の3月10日の記憶。空襲警報が鳴り響き、家の焼跡の前にしゃがみこんだ子供は、何を思ったのか。古井由吉の短編連作がついに完結です。


対談、特別寄稿、エッセイが満載

特集「旅と本」

移動で出会った本、移動から生まれた本、移動で失くした本――作家たちのいろとりどりな“旅と本”をご紹介する夏の特別企画です。
特別寄稿「旅と本、あるいは読書について」では、青山七恵野崎 歓堀江敏幸中島義道、岸本佐知子の珠玉のエッセイをお楽しみ下さい。アンケート企画「旅で読む本」は、各界を代表する書き手25人が推奨する“この旅”で読むべき3冊と次の旅に持って行きたい本をご紹介。
対談「旅と創作」では、「群像」で「道化師の蝶」を発表したばかりの円城 塔と、「雲をつかむ話」連載中の多和田葉子が、旅をしながら執筆すること、普遍言語は存在するのか、亡命作家への憧れについて語り合います。


ついに『私のいない高校』の謎が明らかに!

阿部和重×青木淳悟

青木淳悟『私のいない高校』は、劇的な展開を禁じ、日記形式なのに三人称で書かれた衝撃作。無名の人々の声を拾い集めた、フィクションの最新形ともいえるこの作品について、『ピストルズ』で詐術的リアリズムを達成した阿部和重が迫るスリリングな対談です。


もくじ

〈創作〉

来たれ、野球部(前編)  鹿島田真希

塔の中の女  間宮 緑

子供の行方  古井由吉

〈特集〉旅と本

〈対談〉旅と創作  多和田葉子×円城 塔

〈特別寄稿〉旅と本、あるいは読書について  青山七恵、野崎 歓、堀江敏幸、中島義道、岸本佐知子

〈アンケート企画〉旅で読む本

〈対談〉

『私のいない高校』キ ャラクター化する無名の存在たち  阿部和重×青木淳悟

〈連載小説〉

燃える家〔10〕  田中慎弥

昼田とハッコウ〔18〕  山崎ナオコーラ

未明の闘争〔22〕  保坂和志

〈連載評論〉

安部公房を読む〔8〕  苅部 直

〈世界史〉の哲学〔30〕  大澤真幸

〈連載〉

会社員小説をめぐって〔14〕  伊井直行

現代短歌ノート〔17〕  穂村 弘

「生」の日ばかり〔29〕  秋山 駿

映画時評〔32〕  蓮實重彦

〈随筆〉

天変地異と政治  野口武彦

方向音痴  村松友視

記憶ひとり歩き  穂田川洋山

黒電話の謎  米田夕歌里

〈私のベスト3〉

極私的紐育スポット  大和田俊之

真夏のシュワシュワ  大竹 聡

話題に困ったときに使うアルバイトネタ  中納直子

〈書評〉

三島の仕掛けたトリック(『不可能』松浦寿輝)  三輪太郎

ミステリアスな感覚の余韻(『逆事』河野多恵子)  稲葉真弓

女の子たちが掴んだものは(『天頂より少し下って』川上弘美)  栗田有起

書き継がれるノート(『「生」の日ばかり』秋山 駿)  黒井千次

幽霊たちの出番(『会話のつづき ロックンローラーへの弔辞』川崎 徹)  三浦雅士

〈創作合評〉

沼野充義+陣野俊史+中島京子

「亜美ちゃんは美人」綿矢りさ(文學界2011年7月号)

「超人」伊坂幸太郎(群像2011年7月号)

「道化師の蝶」円城 塔(群像2011年7月号)