群像2011年4月号

言葉が踊り記憶が溢れ出す短篇小説の極致!

古井由吉「年の舞い」

また一つ新しい年を迎えた男の脳裏に甦るのは、晩年の父親のつぶやきだった。人間にとっての老いとは何かを問う、古井由吉の待望の最新短篇です。


創作は松浦寿輝、木下古栗

松浦寿輝の短篇連作が2号連続で登場。ROMSの定例会に出かけた平岡は、「有罪か、無罪か」という問いを突きつけられる。ある青年に下された「判決」の行方は――!?
全国の木下古栗ファンの皆様、お待たせいたしました。アクロバティックに立ち読みをする「本屋大将」に、書店員・登美子の目は釘付け!


小説の未来を切り開く新人たち

新鋭11人短篇競作

恒例の新鋭短篇競作では、前川知大シリン・ネザマフィ丹下健太古谷利裕飛鳥井千砂淺川継太今橋愛佐藤良成松田青子山下澄人中島さなえという、文学の最前線を担う11人が執筆!


『わたしの彼氏』を語り尽くす

野崎歓×青山七恵

『異邦の香り――ネルヴァル「東方紀行」論』が読売文学賞を受賞した野崎歓と、『わたしの彼氏』が3月に刊行される青山七恵の豪華対談が実現。旅先で女性たちの甘美な香りに誘われるネルヴァルと、女性たちに翻弄される鮎太朗には共通点がある!? ともに「群像」連載作品が話題の2人が、小説における主人公像や「祈り」というテーマについて語り合います。


「寂聴まんだら対談」

ゲストは酒井順子

酒井順子の講談社100周年書き下ろし作品『金閣寺の燃やし方』は、『金閣寺』と『金閣炎上』に触発されて生まれました。実際に三島由紀夫、水上勉と親交があった瀬戸内寂聴が、天才作家たちの歓びと哀しみについて酒井順子と赤裸々に語ります。


もくじ

〈創作〉

年の舞い  古井由吉

判決  松浦寿輝

本屋大将  木下古栗

〈新鋭11人短篇競作〉

鬼の頭  前川知大

私は風習のペット  シリン・ネザマフィ

名の前の時間  丹下健太

「ふたつの入り口」が与えられたとせよ  古谷利裕

うわ言  飛鳥井千砂

水を預かる  淺川継太

ぼくは発音がしたい  今橋 愛

ばばぬき  佐藤良成

おにいさんがこわい  松田青子

星になる  山下澄人

オフ・オフ・オフ  中島さなえ

〈対談〉

時空を超える文学の恵み  野崎 歓×青山七恵

〈寂聴まんだら対談〔7〕〉

天才作家たちの歓びと哀しみを謳う  瀬戸内寂聴×酒井順子

〈連載小説〉

雲をつかむ話〔4〕  多和田葉子

燃える家〔6〕  田中慎弥

昼田とハッコウ〔14〕  山崎ナオコーラ

日本文学盛衰史 戦後文学篇〔16〕  高橋源一郎

未明の闘争〔18〕  保坂和志

〈連載評論〉

村上春樹の短編を英語で読む 最終回  加藤典洋

安部公房を読む〔4〕  苅部 直

孤独の発明〔16〕  三浦雅士

〈世界史〉の哲学〔26〕  大澤真幸

東と西――横光利一の旅愁〔33〕  関川夏央

〈連載〉

会社員小説をめぐって〔10〕  伊井直行

現代短歌ノート〔13〕  穂村 弘

「生」の日ばかり〔25〕  秋山 駿

映画時評〔28〕  蓮實重彦

〈随筆〉

沙羅の木  出久根達郎

テル子さんたち  石田 千

旧制一高の精神野球と東大野球部  小関順二

「今、何考えてるの?」  松尾依子

〈私のベスト3〉

独裁者コレクション  鹿島 茂

奇特な人  小池昌代

好きな非推移性パズル  円城 塔

〈書評〉

オヤジたちのビルドゥングスロマン(『末裔』絲山秋子)  豊崎由美

言葉の輪廻転生(『雪の練習生』多和田葉子)  栗田有起

「本」と「人」と「夢」と(『漂流 本から本へ』筒井康隆)  松永美穂

記録と解釈の見事な融合(『葦舟、飛んだ』津島佑子)  陣野俊史

スピンクは今日も歌う(『スピンク日記』町田 康)  松井雪子

〈創作合評〉

藤野千夜+佐々木 敦+阿部公彦

「ぬるい毒」本谷有希子(新潮2011年3月号)

「記憶の暮方」高原英理(群像2011年3月号)