群像2011年2月号

青木淳悟「私のいない高校」

野間文芸新人賞受賞作家・青木淳悟の待望の長篇「私のいない高校」を一挙掲載! 留学生を受け入れたあるクラスの数ヵ月――文学の前衛を直走る著者が描く、誰も見たことのない新しい小説の世界をご堪能下さい。


言葉の可能性を縦横に語る

髙樹のぶ子×佐伯一麦

講談社100周年書き下ろし作品『飛水 HISUI』を発表した髙樹のぶ子と、私小説を書き続け数々の文学賞を受賞している佐伯一麦の対談をお届けいたします。バス転落事故で引き裂かれた男女の、時空を超えた愛を描いた『飛水 HISUI』についてじっくり語り合った対談をぜひお読み下さい。


創作は古井由吉、岡田利規

古井由吉「時雨のように」は男女の業を描いた短篇です。降りしきる雨音が遠く響く部屋で、弔いから戻ったばかりの女と睦み合った記憶――。岡田利規の小説が「群像」に初登場! 女が日常を営み続けた家に、男が海外から帰ってきた。再会した二人の心と認識のずれとは……。この作品「距離、必需品」のドイツ語訳が、来年秋にドイツで出版予定のアンソロジー“Jet Lag Cafe”に収録されます。


「GRANTA」編集長インタビュー

「文学が世界を広げる」

「群像」とコラボレーションを始めた「GRANTA」の編集長ジョン・フリーマンの独占インタビューです。「GRANTA」はミラン・クンデラ、ガブリエル・ガルシア=マルケス、レイモンド・カーヴァーの作品を世界に先駆けて掲載した文芸誌。書評家としてキャリアをスタートさせた彼はアメリカ人でありながら、如何にしてイギリスの老舗文芸誌の編集長に成り得たのか? 動画でインタビューの一部を大公開!


もくじ

〈創作〉

私のいない高校  青木淳悟
時雨のように  古井由吉
距離、必需品  岡田利規

〈対談〉

日本の自然と魂が遊ぶ場所 髙樹のぶ子×佐伯一麦

〈「GRANTA」編集長インタビュー〉

文学が世界を広げる  ジョン・フリーマン

〈群像新人文学賞受賞第一作〉

木々高太郎論  飯塚数人

〈連載小説〉

雲をつかむ話〔2〕  多和田葉子

燃える家〔4〕  田中慎弥

昼田とハッコウ〔12〕  山崎ナオコーラ

未明の闘争〔16〕  保坂和志

〈連載評論〉

安部公房を読む〔2〕  苅部 直

孤独の発明〔14〕  三浦雅士

村上春樹の短編を英語で読む〔18〕  加藤典洋

〈世界史〉の哲学〔24〕  大澤真幸

東と西――横光利一の旅愁〔31〕  関川夏央

〈連載〉

会社員小説をめぐって〔8〕  伊井直行

現代短歌ノート〔11〕  穂村 弘

「生」の日ばかり〔23〕  秋山 駿

映画時評〔26〕  蓮實重彦

〈随筆〉

明日からお陽さまが  石牟礼道子

森鴎外「椋鳥通信」と文化の翻訳  長島要一

カラジッチと三島由紀夫  三輪太郎

愛にまつわる話  甲斐よしひろ

鰯を買う  小山田浩子

〈私のベスト3〉

80年代アイドル空耳ベスト3  朝比奈あすか

戦場での必需品  横田 徹

乙女のハートを射る伝説の男、ベスト3!  シリン・ネザマフィ

〈書評〉

星にみちびかれて(『エルニーニョ』中島京子)  鴻巣友季子

ぐるぐる回り踊り続ける「念」(『うちに帰ろう』広小路尚祈)  清水良典

男なんて、燃やしてしまえばいいのよ(『マキリ』安達千夏)  田中貴子

“世界”の秘密が語られる(『東京大学で世界文学を学ぶ』辻原 登)  谷崎由依

〈創作合評〉

藤野千夜+佐々木 敦+阿部公彦

「赤の他人の瓜二つ」磯﨑憲一郎(群像2011年1月号)

「これはペンです」円城 塔(新潮2011年1月号