群像2014年10月号(9月6日発売)
定価(税別):905円
〈変愛小説〉偏愛座談 岸本佐知子×川上弘美×村田沙耶香×本谷有希子 | |
『変愛小説集 日本作家編』の刊行を記念し、編者である岸本佐知子を司会に、川上弘美、村田沙耶香、本谷有希子との座談会が行われました。それぞれが生み出した「変愛小説」を振り返りつつ、岸本佐知子と川上弘美が勧める「変愛」の名作を読み直します。そこから見えてきた「変愛」の定義とは? そして、人が「変愛」に惹かれる理由とは? |
変愛小説集 温故知新編 岸本佐知子・川上弘美 選 | |
日本の名だたる作家たちの作品の中には、「変愛」としか言いようのない名作がたくさん見つかる――。岸本佐知子、川上弘美の両氏が考える、日本の「変愛名作」を再録。娘の片腕を一晩借り受けた男の物語、川端康成「片腕」。突然身体の奥底からわいてきた女になりたい願望……、藤枝静男「出てこい」。意中の女の糞を見て思いを断ち切ろうとする男を描いた、芥川龍之介「好色」。驚くほど鼻のいいインテリ・山村氏は実は……!? 尾崎翠「山村氏の鼻」。麻酔なしの外科手術を願う女の目的は? 泉鏡花「外科室」。「『変愛小説』偏愛座談」とともにお楽しみください。 |
町田 康「ホサナ」 川上弘美「踊る子供」 | |
町田康の連作「ホサナ」は第8回。犬の言葉を翻訳することで稼げるようになった私だが、日ノミココこと草子の事務所でそれを行っていたため、ヨーコたちスタッフから虐げられるようになって……。 将来「見守り」となる地域に生まれにもかかわらず、活発で踊ることが大好きなその子供に、母たちは困り果てていた。特例として大きな母に育てられ、なんとか「見守り」となった子供は、向かった先で「男」に出会う――。川上弘美の連作短篇「踊る子供」、大きな物語がついに動き出します。 |
群像新人賞受賞後第一作 岡本 学「Identity Provider」 | |
「自分がいなくなったあとの自分の部屋を見てみたい」、そんな希望を口にする幼い湯本修治に医師は言った。君から見えない世界があるのは事実だが、無理に見ようとするとバチがあたる――。『架空列車』で群像新人文学賞を受賞した岡本学が、世界を正八面体でとらえた奇妙な中篇「Identity Provider」、現実と妄想の境を描きます。 |
鬼才による二つの短篇 深堀 骨 | |
『変愛小説集 日本作家編』に収録された「逆毛のトメ」が話題の深堀骨による短篇2作を掲載。仔熊を抱きたくて居ても立っても堪らなくなったから、私は今日も屋敷の通気管を匍匐前進して庭に向かう――「匍匐前進」。「腰巻弁天ロマンチカ商店街」復興のため、鈴木電機店(本当は金令木電機店)の二代目は、謎のお客とともにゆるキャラを考え出す……「鈴木電機店繁盛記」。抱腹絶倒の2篇、必読です。 |
〈座談会〉〈変愛小説〉偏愛座談 岸本佐知子×川上弘美×村田沙耶香×本谷有希子〈変愛小説集 温故知新編〉片腕 川端康成出てこい 藤枝静男好色 芥川龍之介山村氏の鼻 尾崎 翠外科室 泉 鏡花〈連作小説〉〔8〕ホサナ 町田 康〈連作短篇〉〔4〕踊る子供 川上弘美〈創作〉Identity Provider 岡本 学〈2つの短篇〉匍匐前進鈴木電機店繁盛記 深堀 骨〈連載小説〉尻尾と心臓〔4〕 伊井直行 虚人の星〔4〕 島田雅彦 ビビビ・ビ・バップ〔10〕 奥泉 光 〈連載評論〉チェーホフとロシアの世紀末〔6〕 沼野充義 鬼子の歌 近現代日本音楽名作手帖〔10〕 片山杜秀 〈世界史〉の哲学〔66〕 大澤真幸 | 〈連載〉現代短歌ノート〔55〕 穂村 弘 映画時評〔70〕 蓮實重彦 〈随筆〉目取真俊、そしてスーザン・ブーテレイ 藤井貞和 aikoについて――日常の中の愛の巫女 檜垣立哉 「岸辺のアルバム」を歩く 泉 麻人 花は咲いたのか? 上田岳弘 〈私のベスト3〉マイナー言語ワーカーの愉しみ 青木順子 愛してるって百回いわせて 島本ちひろ 好きな焦点距離 林家彦いち 〈書評〉自力婚への道(『結婚』橋本 治)石田 千 日常生活のネットワーク(『春の庭』柴崎友香)松田青子 拡張されたマゾヒズム(『メタモルフォシス』羽田圭介)坂上秋成 〈創作合評〉吉増剛造+中条省平+長野まゆみ 「九年前の祈り」小野正嗣(群像2014年9月号) 「ザビエルが欲しい」朝比奈あすか(群像2014年9月号) 「Masato」岩城けい(すばる2014年9月号) |