群像2014年7月号(6月7日発売)
定価(税別):905円
新連載 連作短篇 島田雅彦「虚人の星」 | |
小学三年生の私を寿司屋に置き去りにして、父は失踪した。残された若く美しい母のもとには、父の友人を名乗る三人の男が入れ代わり立ち代わりやってくる。体育会系の諸星達也、インテリの市川龍太郎、精神科医の宗猛。宗は私に、父はスパイだったと告げるが……。島田雅彦『虚人の星』、孤独な少年をめぐる実験的連作短篇です。 |
新連載 伊井直行「尻尾と心臓」 | |
九州中部に本拠を置く柿谷忠実堂。その営業マンたちを外からフォローする女と、ワンマン社長率いる子会社に単身赴任することになった男。二人の“会社員”が直面するのは――。『会社員とは何者か?――会社員小説をめぐって』で独自の会社員論を展開した伊井直行による会社員小説、「尻尾と心臓」連載開始です。 |
一挙掲載220枚 山下澄人「ルンタ」 | |
ルンタ、それはチベット語で「風の馬」という意味だ――。一緒に暮らしていた女を探し「山」へ向かったわたしは、途中でひどい吹雪に遭い遭難しかける。救ってくれた男たちからルンタという名の馬を譲り受け、さらに歩を進めるが……。山下澄人「ルンタ」、必読です。 |
第8回大江賞記念対談 大江健三郎×岩城けい | |
第8回大江健三郎賞受賞を記念して行われた、大江健三郎と受賞者・岩城けいの対談「この小説の新しさと独特さ」を掲載。大江健三郎が語る「時代の精神」とはどんなものなのか。小説を何度も書き直すことの意義とは。そして岩城けいが投げかけた、純文学の定義とは何かという問いへの答えは――? |
『夜は終わらない』刊行記念対談 星野智幸×江國香織 | |
「私が夢中になれるお話をしてよ。そうでなければ、あんたはお払い箱」。現代日本を舞台にした「アラビアンナイト」とも言うべき、星野智幸の新刊『夜は終わらない』。その刊行を記念し、江國香織との対談が行われました。読者を簡単には寄り添わせない強靭さ、読んでいて自我が危うくなる果てしなさ――、めくるめく物語の魅力を語りつくします。 |
〈新連載 連作短篇〉虚人の星 島田雅彦〈新連載〉尻尾と心臓 伊井直行〈一挙掲載220枚〉ルンタ 山下澄人〈第8回大江健三郎賞受賞記念対談〉この小説の新しさと独特さ 大江健三郎×岩城けい〈対談〉『夜は終わらない』――果てしない物語の世界へ 星野智幸×江國香織〈連作〉〔4〕春の坂道 古井由吉〈評論〉山人論――折口信夫と台湾 安藤礼二〈連作批評〉「小説」の上演(下) 佐々木 敦〈連載小説〉死に支度 最終回 瀬戸内寂聴 パノララ〔16〕 柴崎友香 ビビビ・ビ・バップ〔7〕 奥泉 光 時穴みみか〔10〕 藤野千夜 〈連載評論〉チェ-ホフとロシアの世紀末〔3〕 沼野充義 鬼子の歌 近現代日本音楽名作手帖〔7〕 片山杜秀 皇后考〔22〕 原 武史 〈世界史〉の哲学〔63〕 大澤真幸 | 〈連載〉現代短歌ノート〔52〕 穂村 弘 映画時評〔67〕 蓮實重彦 〈随筆〉二人の女方 高橋睦郎 試験地獄・無間地獄 上野 誠 いま、相手に向かうことの尊さ 阿部仲麻呂 〈私のベスト3〉南大西洋の両岸にて 旦 敬介 料理が良くて予約が取りやすい店 友里征耶 一人カラオケ、最高 春日太一 〈書評〉言葉によって作られたボディ(『ミッキーは谷中で六時三十分』片岡義男)小池昌代 グローバリズムの病(『女のいない男たち』村上春樹)前田英樹 「わたし」たち(『星よりひそかに』古谷利裕)柴崎友香 〈創作合評〉堀江敏幸+諏訪哲史+平野啓一郎 「雨女」町田 康(新潮2014年6月号) 「春の庭」柴崎友香(文學界2014年6月号) 「吾輩ハ猫ニナル」横山悠太(群像2014年6月号) |