群像2013年12月号

13人の作家が名探偵へ捧ぐオマージュ 特集「名探偵登場」

シャーロック・ホ-ムズ、明智小五郎、フィリップ・マーロウ……。時代をつくってきた数々の名探偵をテーマにアンソロジーを編みました。

青木淳悟「捕まえて、鬼平!~鬼平「風説」犯科帳~」、稲葉真弓「ふくろうたち」、海猫沢めろん「三毛猫は電気鼠の夢を見るか」、片岡義男「音譜五つの春だった」、木内 昇「遠眼鏡」、谷崎由依「a yellow room」、辻 真先「銀座某重大事件」、筒井康隆「科学探偵帆村」、津村記久子「フェリシティの面接」、長野まゆみ「ぼくの大伯母さん」、藤野可織「わたしとVと刑事C」、町田 康「文久二年閏八月の怪異」、松浦寿輝「四人目の男」。

13人の作家による豪華競演をお楽しみください。


特集「大江健三郎『晩年様式集』を読む」 

「群像」で二年にわたって連載された大江健三郎『晩年様式集 イン・レイト・スタイル』が発売されました。刊行を記念し、三浦雅士いとうせいこう小野正嗣による合評と、7人の作家・評論家による競作書評を掲載。大澤 聡「未定稿の補遺」、大澤信亮「激震の亀裂」、高橋源一郎「小説なのやから!」、武田将明「名づけえぬものたちへ」、野崎 歓「祈念へ、無垢へ」、福永 信「この本の楽しさ」、松永美穂「くりかえし追想される死者たち」。必読です!


注目作家の中篇110枚

広小路尚祈「じい」

キャリアウーマンの妻と幼い息子と共に、義父母に建ててもらった二世帯住宅で暮らす「おれ」。同居している義父母はどちらもいい人で、孫の面倒をよくみてくれるから、週に一度のノー残業デーに「おれ」は妻とデートができる。恵まれているとわかっているけれど、「おれ」は、妻は、息子に対してこれでいいのか? 「じい」、注目作家・広小路尚祈が描く、義父と「おれ」の言葉にしにくい関係の物語です。


『燃える家』刊行記念対談

田中慎弥×原 武史

1000枚を超えるスケ-ルで現代日本の核心に迫る、芥川賞作家・田中慎弥の最高傑作にして最大の問題作『燃える家』。東京、天皇、キリスト教……、さまざまな「巨大なる存在」にちっぽけな人間が挑む本作をめぐり、田中慎弥原 武史が対談を行いました。


追悼 秋山 駿

瀬戸内寂聴、黒井千次、中沢けい、井口時男、岳 真也

五人の作家・評論家による、秋山 駿への思い――。瀬戸内寂聴「夢での逢い」、黒井千次「近くの人」、中沢けい「内面のドラマ」、井口時男「「魂」を更新しつづけた人」、岳 真也「わずかな溝を一またぎ――秋山駿さんへの最後の見舞い」。


もくじ

〈特集 名探偵登場〉

捕まえて、鬼平!~鬼平「風説」犯科帳~  青木淳悟

ふくろうたち  稲葉真弓

三毛猫は電気鼠の夢を見るか  海猫沢めろん

音譜五つの春だった  片岡義男

遠眼鏡  木内 昇

a yellow room  谷崎由依

銀座某重大事件  辻 真先

科学探偵帆村  筒井康隆

フェリシティの面接  津村記久子

ぼくの大伯母さん  長野まゆみ

わたしとVと刑事C  藤野可織

文久二年閏八月の怪異  町田 康

四人目の男  松浦寿輝

〈特集 大江健三郎『晩年様式集』を読む〉

〈合評〉

三浦雅士×いとうせいこう×小野正嗣

〈競作書評〉

未定稿の補遺  大澤 聡

激震の亀裂  大澤信亮

小説なのやから!  高橋源一郎

名づけえぬものたちへ  武田将明

祈念へ、無垢へ  野崎 歓

この本の楽しさ  福永 信

くりかえし追想される死者たち  松永美穂

〈創作〉

じい  広小路尚祈

〈対談〉

巨大な存在とちっぽけな人間 『燃える家』をめぐって  田中慎弥×原 武史

〈追悼 秋山駿〉

夢での逢い  瀬戸内寂聴

近くの人  黒井千次

内面のドラマ  中沢けい

「魂」を更新しつづけた人  井口時男

わずかな溝を一またぎ――秋山駿さんへの最後の見舞い  岳 真也

〈連載小説〉

時穴みみか〔3〕  藤野千夜

死に支度〔5〕  瀬戸内寂聴

パノララ〔9〕  柴崎友香

地上生活者 第五部 邂逅と思索〔22〕  李 恢成

〈連載評論〉

皇后考〔15〕  原 武史

〈世界史〉の哲学〔57〕  大澤真幸

〈連載〉

現代短歌ノート〔45〕  穂村 弘

映画時評〔60〕  蓮實重彦

〈随筆〉

「町の普通のそば屋」と秋山駿さん  坪内祐三

心の王国  若松英輔

「韓国式庭園」って何ですか?  安西信一

普通の人になるために  村上靖彦

〈私のベスト3〉

イタリアの町  ささめやゆき

ソローキン来日四方山話  松下隆志

野宿に便利?  かとうちあき

〈書評〉

西日本文学の新たな本流(『燃える家』田中慎弥)  田中弥生

芸術と恋愛が形づくるもの(『ハルモニア』鹿島田真希)  トミヤマユキコ

「私なるもの」をたどって(『銀色の月 小川国夫との日々』小川 恵)  蜂飼 耳

〈創作合評〉

小池昌代+阿部公彦+中村文則

「いなか、の、すとーかー」綿矢りさ(群像2013年11号)

「ミス・アイスサンドイッチ」川上未映子(新潮2013年11月号)

「かげろう草紙」日和聡子(群像2013年11月号)