群像2013年8月号(7月6日発売)
定価(税込):950円
新連載小説 瀬戸内寂聴「死に支度」 | |
あと一ヵ月ばかりで九十一歳になる小説家の「私」。目を覚ますと、長年仕事から家のことまで手助けしてくれていた森はるみが、板敷の床に正座していた。「お話がございます」――。職業作家になって六十年、「私」に訪れた決意の時。瀬戸内寂聴「死に支度」、連載開始です。 |
迸る新しい才能! 藤野可織「8月の8つの短篇」 | |
「私、ものすごく頭がいいの」女子高生のトランジは、死を引き寄せる名探偵。彼女が転校してきてから、ピエタの周りでは人が次々死んでいく――。女子高生二人の殺伐とした日常を描いた「ピエタとトランジ」をはじめ、まがい物の人魚の一生を見つめた「アイデンティティ」、一日ひとつだけ絶対に嘘をつかなくてはならない少女の悲劇「エイプリル・フール」など、8篇のダークなファンタジーで構成された「8月の8つの短篇」。最注目作家・藤野可織の新境地です。 |
好評企画第二弾 特集「個人的な詩集」 | |
六人の編者が独自のテーマに沿って、数篇の詩を選び作り上げたアンソロジー「個人的な詩集」。鹿島田真希「トリストそしてテロリスト」、諏訪哲史「『遠い場所』の詩」、津島佑子「人間の歌声」、野崎歓「動物詩集」、穂村弘「不可能の恋人たち」、三木卓「感覚の熱度」。編者による解説とともに、古今東西の名詩をお楽しみください。 |
短篇 古谷利裕「グリーンスリーブス・レッドシューズ」 | |
帽子屋で働く姉は、週末が近づくと自分の手足がとても遠くに感じられるという。てっぺんのとんがった不思議な形のニット帽をかぶった彼は、娘がいるという設定で、よく娘の話をする。さっき階段で彼とすれ違った猫は、むこう側の世界では獣たちの一頭だったこともあり、もう少しでそれを思い出しそうになる――。現実世界が、静かに美しく揺らぎはじめる詩的短篇小説、古谷利裕「グリーンスリーブス・レッドシューズ」。必読です。 |
安藤礼二の連作評論は第六回 大江健三郎の連載ついに最終回 | |
安藤礼二の連作評論第六回は「折口信夫の天皇」。昭和天皇の即位とともに形成された折口の「大嘗祭の本義」とは? 大江健三郎の「晩年様式集(イン・レイト・スタイル)」はついに最終回。過去の対立を乗り越えた長江とアカリは、アカリ作曲・真木選曲のCD『森のフシギの音楽』を森の中で聴くことになり――。 |
〈新連載小説〉死に支度 瀬戸内寂聴〈短篇集〉8月の8つの短篇 藤野可織ピエタとトランジ/アイデンティティ/今日の心霊/エイプリル・フール/逃げろ!/ホームパーティーはこれから/ハイパーリアリズム点描画派の挑戦/ある遅読症患者の手記 〈特集 個人的な詩集〉トリストそしてテロリスト 鹿島田真希「遠い場所」の詩 諏訪哲史人間の歌声 津島佑子動物詩集 野崎 歓不可能の恋人たち 穂村 弘感覚の熱度 三木 卓〈創作〉グリーンスリーブス・レッドシューズ 古谷利裕〈連作評論〉〔6〕折口信夫の天皇 安藤礼二〈連載小説〉晩年様式集 最終回 大江健三郎 存在しない小説〔5〕 いとうせいこう パノララ〔6〕 柴崎友香 寂しい丘で狩りをする〔7〕 辻原 登 屋根屋〔10〕 村田喜代子 地上生活者 第五部 邂逅と思索〔18〕 李 恢成 夜は終わらない〔22〕 星野智幸 〈連載評論〉皇后考〔11〕 原 武史 〈世界史〉の哲学〔53〕 大澤真幸 | 〈連載〉創作の極意と掟〔8〕 筒井康隆 現代短歌ノート〔41〕 穂村 弘 映画時評〔56〕 蓮實重彦 〈随筆〉人間対コンピュータ 諏訪部浩一 「打ち開けた地方」への旅 四元康祐 東の国から来るものは 古市真由美 宿命論者であるシチリア人さえも 島村菜津 〈私のベスト3〉具体嗜好という病 平野暁人 わが戦友、スニーカー 権 徹 足りないもの 新庄 耕 〈書評〉人間と小説の浄土(『聖痕』筒井康隆) 町田 康 耳を澄まして祈る(『いつも彼らはどこかに』小川洋子) 澤西祐典 古川日出男が脳内で朗読ギグを敢行します(『南無ロックンロール二十一部経』古川日出男) 福永 信 答えを告げない、開かれた口(『□』阿部和重) 今村友紀 〈創作合評〉吉増剛造+中条省平+長野まゆみ 「Re:依田氏からの依頼」平野啓一郎(新潮2013年7月号) 「猫の目犬の鼻」丹下健太(群像2013年7月号) 「LIFE」松波太郎(群像2013年7月号) |