群像2013年4月号(3月7日発売)
定価(税込):950円
鎮魂と希望の物語 林 京子「再びルイへ。」 | |
ある日、テレビに映る役人の口から飛び出した、「内部被爆」という言葉。それはわたしが被爆したとき、決して公人が認めなかった単語だ――。かつて長崎で被爆した著者が語る、福島の原発事故。迷いと戸惑いを抱えつつ、著者は代々木公園へ向かう。思いの丈を吐き出すために。新しい出発のために。林京子「再びルイへ。」、必読です。 |
連作スタート! 片岡義男「タリーズで座っていよう」 | |
髪が長く中性的な雰囲気の翻訳家・西野晴彦は、女物の服を好み、いつもタリーズでコーヒーを飲む。編集者と打ち合わせするときも、建て替えの相談のあとも、母が亡くなった日も、彼は同じようにショートサイズのコーヒーを飲んだ。記憶と言葉、男と女を描く、片岡義男の魅惑の連作。第一話は、「タリーズで座っていよう」。 |
超絶技巧の新連載! いとうせいこう「存在しない小説」 | |
フィラデルフィアの片隅で、ひとりの冴えない男が町一番の美女と結婚した。キューピッド役をつとめたのは、花嫁の弟である冒険家アーキー。二人の間に生まれたジュリー・グリエコは、この天真爛漫な叔父を慕っていたが……。田舎町から名門大学に進学した少年に訪れた転落とは。いとうせいこうが造り上げる、作家も訳者もいない「世界文学」。超絶技巧の新連載「存在しない小説」、ご堪能下さい。 |
新連作批評 佐々木 敦「新しい小説のために」 | |
今こそ真っ向から「新しい小説」を問う蛮気を! 「小説」のモードの更新が停まっている今。「小説」が読まれていない今。我々は「新しい小説」のために何をすべきなのか? ふたつの「リアル」から、一歩を踏み出そう。佐々木敦が文学の本質と現在にせまる刺激的論考「新しい小説のために」、開始です。 |
新たな才能の華麗なる競演 新鋭9人短篇競作 | |
今村友紀、岡本学、小山田浩子、片瀬チヲル、澤西祐典、滝口悠生、千早茜、橋口いくよ、藤崎和男――新進気鋭の9人が、30枚という定められた枠で華麗に競演。これからの文学をになう若手作家たちの気迫溢れる短篇。 |
〈創作〉再びルイへ。 林 京子〈3つの連作〔1〕〉タリーズで座っていよう 片岡義男〈新連載〉存在しない小説 いとうせいこう〈新連作評論〉新しい小説のために 佐々木 敦〈新鋭9人短篇競作〉バスチオン公園の馬鹿たち 今村友紀高田山は、勝った 岡本 学うらぎゅう 小山田浩子コメコビト 片瀬チヲル砂糖で満ちてゆく 澤西祐典かまち 滝口悠生縛す 千早 茜芸能人気取り 橋口いくよ負けて悔いあり我が闘争 藤崎和男〈連作小説〉流砂〔3〕天袋の奥 黒井千次〈翻訳小説〉楽しい夜 ジェームズ・ソルター 岸本佐知子・訳〈追悼 安岡章太郎〉あの頃の安岡さん 坂上 弘安岡さんと小林さん 三浦雅士対話の記憶 リービ英雄平成の『流離譚』 富岡幸一郎私は安岡章太郎の影響を受けているかもしれない 坪内祐三〈連載小説〉パノララ〔2〕 柴崎友香 寂しい丘で狩りをする〔4〕 辻原 登 三陸の海〔6〕 津村節子 地上生活者 第五部 邂逅と思索〔14〕 李 恢成 晩年様式集(イン・レイト・スタイル)〔14〕 大江健三郎 燃える家〔30〕 田中慎弥 未明の闘争〔42〕 保坂和志 | 〈連載評論〉皇后考〔7〕 原 武史 〈世界史〉の哲学〔49〕 大澤真幸 〈連載〉創作の極意と掟〔4〕 筒井康隆 現代短歌ノート〔37〕 穂村 弘 「生」の日ばかり〔49〕 秋山 駿 映画時評〔52〕 蓮實重彦 〈随筆〉福島、冬ざれの街で 長田弘 「秘密」の秘密 髙橋秀実 気になる広告について 白岩 玄 昔の恋人 吉原真里 〈私のベスト3〉ともに過ごす 日和聡子 不器用上等! 魅惑の四回転ジャンパー 木原音瀬 私だけのスイッチ愛 NHK_PR1号 〈書評〉現代日本の限りなく不運な「異邦人」(『冬の旅』辻原 登) 関川夏央 風俗小説と批判精神(『傾国子女』島田雅彦) 陣野俊史 多機能携帯電話的なもの(『三姉妹とその友達』福永 信) 藤野可織 〈創作合評〉野崎 歓+町田 康+片山杜秀 「快楽」青山七恵(群像2013年3月号) 「スナックちどり」よしもとばなな(文學界2013年3月号) |