群像2013年2月号

12人の作家が豪華競演!

特集「12星座小説集」

12人の作家が、自身の生まれた星座を題材に短篇を書き上げました。

牡羊座「安政元年の牡羊座」橋本 治、牡牛座「クラシックカー」原田ひ香、双子座「星と煉乳」石田 千、蟹座「二十六夜待ち」佐伯一麦、獅子座「サタデードライバー」丹下健太、乙女座「乙女座の星」姫野カオルコ、天秤座「天秤皿のヘビ」戌井昭人、蠍座「いいえ 私は」荻野アンナ、射手座「夏に出会う女」宮沢章夫、山羊座「山羊経」町田 康、水瓶座「美人は気合い」藤野可織、魚座「透明人間の夢」島田雅彦


対談「文学の力」 大江健三郎×パトリック・シャモワゾー

『テキサコ』や『クレオール礼賛』で知られる、カリブ海マルティニーク島出身のゴンクール賞作家パトリック・シャモワゾーと、ノーベル賞作家の大江健三郎が、熱い文学談義を繰り広げた対談「文学の力――クレオール的未来のために」は必読です。司会は作家でありフランス文学者でもある堀江敏幸。国籍も言語も越えて「文学的友情」で結ばれた二人が、グローバル化の対極にあるクレオール化が未来にもたらす可能性について語り合います。


初の自伝的戯曲 岡田利規「ZERO COST HOUSE」

アメリカのパフォーマンス集団Pig Iron Theatre Companyとコラボレーションし、2012年にフィラデルフィアで上演された岡田利規の新作戯曲「ZERO COST HOUSE」の日本語版を掲載。15年前、「僕」はヘンリー・デイヴィッド・ソローの『ウォールデン』に出会った。『ゼロから始める都市型狩猟生活』などで0円ハウスを提唱した、現代のソローとも言うべき「坂口恭平」は新政府を樹立し、ある夫婦を受け入れる――。過去と現在の「岡田利規」が登場し、東日本大震災を経て起きた自身の変化を見つめる自伝的作品です。2013年2月には日本初上陸、KAAT神奈川芸術劇場で上演されます!


連作評論 第4回

安藤礼二「折口信夫の祝祭」

折口信夫を新たな角度から再発見する、安藤礼二の画期的論考の第4弾です。「折口信夫の祝祭」では折口の師である柳田國男を取り上げ、二人の関係や折口に与えた影響をたどり直します。


大反響! 好評連載 第2回

筒井康隆、辻原登

1月号で連載が始まり、多くの反響が寄せられた筒井康隆「創作の極意と掟」。第2回のテーマは「破綻」「濫觴」「表題」です。筒井康隆がこれまで魅力的に感じた小説のタイトルとは?

ヒロインに迫る犯罪者の影に息を呑む、辻原登のクライムサスペンス「寂しい丘で狩りをする」。第2回ではもう一人の主人公である女性探偵が登場。彼女もまた、男に酷く苦しめられた過去があったのだった。


もくじ

〈特集 12星座小説集〉

〈牡羊座〉 

安政元年の牡羊座  橋本 治

〈牡牛座〉

クラシックカー  原田ひ香

〈双子座〉

星と煉乳  石田 千

〈蟹座〉

二十六夜待ち  佐伯一麦

〈獅子座〉

サタデードライバー  丹下健太

〈乙女座〉

乙女座の星  姫野カオルコ

〈天秤座〉

天秤皿のヘビ  戌井昭人

〈蠍座〉

いいえ 私は  荻野アンナ

〈射手座〉

夏に出会う女  宮沢章夫

〈山羊座〉

山羊経  町田 康

〈水瓶座〉

美人は気合い  藤野可織

〈魚座〉

透明人間の夢  島田雅彦

〈附記〉

12星座の2013年  鏡リュウジ

〈対談〉

文学の力――クレオール的未来のために

大江健三郎×パトリック・シャモワゾー 司会・堀江敏幸

〈戯曲〉

ZERO COST HOUSE  岡田利規×Pig Iron Theatre Company

〈連作評論〉〔4〕

折口信夫の祝祭  安藤礼二

〈連載小説〉

寂しい丘で狩りをする〔2〕  辻原 登

三陸の海〔4〕  津村節子

屋根屋〔6〕  村田喜代子

地上生活者 第五部 邂逅と思索〔12〕   李 恢成

夜は終わらない〔18〕   星野智幸

燃える家〔28〕   田中慎弥

未明の闘争〔40〕   保坂和志

〈連載評論〉

皇后考〔5〕  原 武史

〈世界史〉の哲学〔47〕   大澤真幸

〈連載〉

創作の極意と掟〔2〕  筒井康隆

現代短歌ノート〔35〕   穂村 弘

「生」の日ばかり〔47〕   秋山 駿

映画時評〔50〕   蓮實重彦

〈随筆〉

転がらなかった石  中条省平

誰でもできる社会運動  小熊英二

肉食男児の英才教育  田丸公美子

夜のモモンガの森で(モモンガはでてこないけれど)  小林朋道

〈私のベスト3〉

アダルトビデオの名言  中村文則

オモシロかわいい台湾  ayaco

Sexy Zoneから目が離せない3つの理由  鈴掛 真

〈書評〉

静けさにひそむ声(『ことり』小川洋子)   日和聡子

1000年後に生き残れなかったとしても(『1000年後に生き残るための青春小説講座』佐藤友哉)   高橋源一郎

ある社会的弱者の悲劇(『カジュアル・ベイカンシー 突然の空席』J.K.ローリング/亀井よし子訳)   鹿島田真希

〈創作合評〉

野崎 歓+町田 康+片山杜秀

「ヤマネコ・ドーム」津島佑子(群像2013年1月号)

「恩寵」磯崎憲一郎(文學界2013年1月号)