群像2012年12月号(11月7日発売)
定価(税込):950円
短篇小説特集 三木 卓、高村 薫、津村記久子、大竹昭子、岸本佐知子(訳)、沼野恭子(訳) | |
不意に持ちかけられた、心臓の新しい治療法のゆくえは(三木卓「咳」)。誰もが近くにあるという「鈴木商店」がなぜかぼくには見つけられなくて――(高村薫「生還者」)。母親、私、娘。女三人暮らしの我が家、台所は取り合いだ(津村記久子「台所の停戦」)。ほか、豪華執筆陣による短篇6篇を掲載! |
連作完結 長野まゆみ「P.」 連作小説第4回 町田 康「ホサナ」 | |
長野まゆみの連作小説がついに完結! かつて死にかけたことのある義兄は、朦朧とする意識の中で「声」と契約を結び、十七年だけ生き延びた。タイムリミットが来たのか、ある日姿を消した義兄。代わりに現れたのは、ウサギの着ぐるみで――。 町田康の「ホサナ」は第4回。私は入念に準備し、正しいバーベキューの開催を目指すのだが、やって来たのは、禱子、日本平、草子の三人と犬二匹だけ。しかも現場は荒れに荒れて――。 |
新鋭の力作中篇2本 日和聡子、橋口いくよ | |
私は猫の君子たる夜見闇(よみやみ)君の屋敷に居候する身。ある日、繭君の終日(ひねもす)君を、佐左目谷(ささめがやつ)君のもとにお連れする御命を授かった。新鋭・日和聡子が描く奇妙で愉快な冒険譚「御命授天纏佐左目谷行(ごめいさずかりてんてんささめがやつゆき)」。 昨日まで私は、普通の子だったはず、なのに。どこかズレた転校生ミナが引き起こした「宗教ごっこ」。まつり上げられた私はやがて――。橋口いくよの「かめこさま」、必読です! |
講演録 古井由吉 「翻訳と創作と」 | |
自分の執拗なまでの「書き直し癖」は、翻訳の仕事の後遺症だ――。「推敲」という言葉の成り立ちにも関わる翻訳という仕事の繊細さ、困難さ。そして、自分の書いたものへの恣意感、そこから生まれる昏迷感と闘い続けなくてはならない、創作という仕事の苦しさ。作家・古井由吉を形作る「翻訳と創作」に本人が迫ります。 |
追悼 丸谷才一 瀬戸内寂聴、筒井康隆、鹿島 茂 | |
作家、英文学者、評論家であり、多くの文芸賞の選考委員をつとめた丸谷才一。今年10月に鬼籍に入った氏をしのび、瀬戸内寂聴、筒井康隆、鹿島茂のお三方からご寄稿いただきました。 |
〈短篇小説特集〉咳 三木 卓生還者 高村 薫台所の停戦 津村記久子二兎と偽札と蛙の目 大竹昭子テオ デイヴ・エガース 岸本佐知子・訳おばあさん、スズメバチ、スイカ ザハール・プリレーピン 沼野恭子・訳〈連作完結〉P. 長野まゆみ〈連作小説〉ホサナ〔4〕 町田 康〈創作〉御命授天纏佐左目谷行 日和聡子かめこさま 橋口いくよ〈講演録〉翻訳と創作と 古井由吉〈追悼 丸谷才一〉丸谷才一さんとのつき合い 瀬戸内寂聴面白さに拘り続けた人 筒井康隆官能的なものに迷わされる知識人 鹿島 茂〈連載小説〉地上生活者 第五部 邂逅と思索〔10〕 李 恢成 晩年様式集(イン・レイト・スタイル)〔11〕 大江健三郎 夜は終わらない〔16〕 星野智幸 燃える家〔26〕 田中慎弥 未明の闘争〔38〕 保坂和志 〈連載評論〉フランス文学と愛〔11〕 野崎 歓 〈世界史〉の哲学〔45〕 大澤真幸 | 〈連載〉現代短歌ノート〔33〕 穂村 弘 「生」の日ばかり〔45〕 秋山 駿 映画時評〔48〕 蓮實重彦 〈随筆〉思い込んだら、それまでよ 森村泰昌 みなまで言ったところで 木内 昇 莫言、この二十年 茅野裕城子 小説修行 平田オリザ ムービー・イン・ムービー 向井万起男 〈私のベスト3〉わたしが見つけた夜露死苦現代詩2012 山内マリコ 好きな動物 辛酸なめ子 森の奥 木地雅映子 〈書評〉平安の随筆家、平成の小説家(『月の輪草子』瀬戸内寂聴) 酒井順子 全ての女子への誠実な祈り(『七緒のために』島本理生) 辻村深月 抜け目ない挑戦(『犬とハモニカ』江國香織) 阿部公彦 「千円札小説論」の実践(『この人を見よ』後藤明生) 坪内祐三 〈創作合評〉高橋源一郎+富岡幸一郎+海猫沢めろん 「獅子渡り鼻」岡崎祥久(群像2012年11月号) 「行方」日和聡子(群像2012年11月号) 「わたしは妊婦」大森兄弟(文藝2012年冬号) |