群像2012年10月号

著者の新境地を開く大冒険譚!  

岡崎祥久「ファンタズマゴーリア」

ミラーワールドの少年・マルテは、人間の世界で魅力的な少女リヱカに出会うが、郵便配達員の猿に連れられ地中世界へ。姿を変え時を越えて3つの世界を巡り、マルテは少女との再会を果たす――。岡崎祥久によるファンタジー長篇480枚を一挙掲載!


中篇120枚 大森兄弟「松ぼっくいとセミの永遠」

おばあちゃんが作った松ぼっくい人形を、夏休みの自由研究として提出した僕は、先生に褒められて居心地の悪い思いを味わう。翌日、クラスの女子が人形を壊してしまった――。「仲直りの握手」から始まった、幼く不器用な恋の行方は? 注目作家・大森兄弟の最新作。


翻訳短篇 岸本佐知子・訳

ブレット・ロット「家族」

夫婦喧嘩の最中に消えた幼い息子と娘。二人はクーラーボックスの中で、ティーンエイジャーに成長していた――。ブレット・ロットが描く「家族」の本質的な不気味さを、岸本佐知子の翻訳でご堪能下さい。


「三姉妹」完結! 福永 信

連作短篇 長野まゆみ

福永 信「三姉妹」がついに完結! 多機能携帯電話を巡る四兄弟の孤独なたたかいの結末は? 長野まゆみ「2°(フォリオ)」も必読です。二世帯住宅で一方に自分たちが住み、もう一方を人に貸すことにしたカップル。しかし隣の住人は……。


特集「作家と本棚」

津村節子、赤瀬川原平、吉増剛造、リービ英雄、松浦寿輝、穂村 弘、青木淳悟

思考の源泉、趣味の集積、人生の軌跡……あの人はどんな本に囲まれて生きているのか。津村節子赤瀬川原平吉増剛造リービ英雄松浦寿輝穂村 弘青木淳悟――7人の作家の本棚を覗かせてもらいました。


もくじ

〈創作〉

ファンタズマゴーリア  岡崎祥久

松ぼっくいとセミの永遠  大森兄弟

〈翻訳小説〉

家族 ブレット・ロット 岸本佐知子・訳

〈特集 作家と本棚〉

津村節子、赤瀬川原平、吉増剛造、リービ英雄、松浦寿輝、穂村 弘、青木淳悟

〈短期集中連載 完結 4/4回〉

三姉妹  福永 信

〈連作短篇〉〔6〕

2°(フォリオ)  長野まゆみ

〈連載小説〉

屋根屋〔3〕   村田喜代子

地上生活者 第五部 邂逅と思索〔8〕   李 恢成

晩年様式集(イン・レイト・スタイル)〔9〕   大江健三郎

夜は終わらない〔14〕   星野智幸

燃える家〔24〕   田中慎弥

未明の闘争〔36〕   保坂和志

〈連載評論〉

皇后考〔2〕 原 武史

フランス文学と愛〔9〕   野崎 歓

〈世界史〉の哲学〔43〕    大澤真幸

〈連載〉

現代短歌ノート〔31〕   穂村 弘

「生」の日ばかり〔43〕   秋山 駿

映画時評〔46〕   蓮實重彦

〈随筆〉

中毒について  花村萬月

文学の土  荒川洋治

アメリカの〈物語〉  大和田俊之

立ち食いそば礼賛  倉数 茂

〈私のベスト3〉

残っていて欲しかった名画・西洋篇  深水黎一郎

何気ない言葉たち  華恵

齢三十を前にして、再会を果たした批評、三つ。  浜崎洋介

〈書評〉

折が来る前に(『定義集』大江健三郎)   堀江敏幸

震災のまえ、震災のあと(『光線』村田喜代子)   岩阪恵子

冥土めぐりと胎内めぐり(『冥土めぐり』鹿島田真希)   斎藤美奈子

記憶と現在が融けあう日常(『最後に誉めるもの』川崎 徹)   瀧井朝世

〈創作合評〉

清水良典+円城 塔+柴崎友香

「ばちあたり」大島孝雄(群像2012年9月号)

「モネと冥王星」海猫沢めろん(群像2012年9月号)

「mundus」川上弘美(新潮2012年9月号)